こんにちわ。
そうですね,噴火湾はほぼ円形をしていますし,まわりを活火山(恵山,駒ケ岳,有
珠山)がとりまいていることから,いかにもカルデラのような気がしますね。でも残
念ながらカルデラである可能性はほとんどありません。
もしカルデラであるならば,その陥没量に見合うだけの火山噴出物が周囲に分布して
いるはずです。その量は阿蘇や支笏などの日本を代表するカルデラ形成時に放出され
た噴出物量(数100立方キロメートル)より1桁多いはずです。しかしながらそのよう
な噴出物(火砕流)は周囲には存在しません。また地下から大量の物が放出された場
合に期待される重力の異常も見つかっていません。
ちなみに噴火湾の名称は19世紀に訪れた外国船の船長によって与えられました。とい
うのも当時は恵山,駒ケ岳そして有珠山が噴火を繰り返した時期で,それらの火山は
盛んに噴煙を上げていたと想像できます。それを見た船長が「噴火湾」と名付けたの
です。
(8/27/00)
中川光弘(北海道大学大学院・地球惑星科学)
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