噴火現象と噴出物・岩石・鉱物
噴煙 |
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Question #484
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Q |
有珠山の噴火でよく使われるカリフラワー噴火とは、学術用語ですか?
(04/20/00)
富士山:公務員:40歳
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A |
カリフラワー噴煙とは学術用語としては定義されていません.火山灰を含む噴煙の
膨張ち移動の(比較的乾いた暗灰色の拳状の雲の塊が勢い良く動いてモクモクと成長
する)仕方がカリフラワーのように見えるので例えて表現しているものです.有珠山
の3月31日の噴火開始の時,火山灰を多量に含む噴煙に特徴的に見られたもので,雲
仙普賢岳の火砕流に伴った噴煙(灰かぐら)でも見られた特徴です.
4月12日頃から有珠山で観察されている噴煙は,これまでの土砂噴出のような水蒸
気爆発(あるいはマグマ水蒸気爆発)よりは水気が少なくなって,火口の直上で仕掛
け花火が炸裂するような爆発になりました.この爆発時の噴煙の動きが小さなカリフ
ラワー状に見えるというわけです.これは火山灰噴煙に見られる典型的なカリフラワ
ー型とは規模の点で大きく異なりますが,形態を表現しやすいのでこの言葉を使用し
ているのだと思います.
有珠山では,今後,火山灰を数km以上も勢い良く噴き上げる噴火に移行するのかど
うかが注目されています.昭和新山を作った噴火では,水蒸気爆発期後に立ち上った
勢いの良い火山灰噴煙から火砕サージ(火砕流の一種)が発生しました.今回の噴火
でもこれを警戒しているわけです.
(4/20/00)
中田節也(東京大学・地震研究所・火山センター)
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Question #34
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Q |
桜島の灰色噴煙がたくさん出ると、次の日に雨が降るパターンが多いのはなぜか、という質問がありました。天気が悪くなる前には東風になり、鹿児島市内から見ると噴煙が大きく見えるためではないかと思っています。私の考えはおかしいでしょうか。
(8/14/97)
西桜島のおじさん:公務員:50
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A |
結論から先にいうとおかしくはないと思います。
その理由ですが、
1)天候が変化するときに現れる現象(たとえば風向きが変わる、湿度が変
化するなど)は、必ず次にあらわれる天候と関係しています。似たような話で
は、阿蘇の場合では「噴煙が阿蘇谷(火口の北側)に流れると雨が近い」とい
う例もあります。阿蘇の場合ではこの話をするときに噴煙の色や量はあまり話
に出てこないようです。
2)一般に噴煙が多い/少ないという「みかけの噴煙量」の判断は、観察者
の視野の中でどれだけの部分を桜島の噴煙が占めるか(つまり大きく見えるか
小さく見えるか)ということを根拠にします。したがって、ある程度の噴煙の
量が出ていた場合には、西風の時よりも鹿児島市内が風下になる東風の時の方
が噴煙が多い印象を受けるのではないでしょうか。
3)また「灰色の噴煙が多いとき」とありますが、噴煙が灰色に見えるとき
は必ずしも火山灰が混じっている場合ばかりとも限らず、漂う噴煙が厚くて空
からの光を遮ってしまう場合も多いと思います。噴煙が立ち上っていった先
で、本当の雲になって漂って行くことはほかの火山でも見受けることがありま
すが、この雲が雨を降らす積乱雲にまで成長するのはよほど活動が活発な時に
限られると思います。
以上のことから、ご質問の現象に関しては、火山活動の強弱というより気象
そのものの変化で説明するのは妥当な考えではないかと思います。
筒井智樹(京大・理・地球熱学研究施設火山研究センター)
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Question #70
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Q |
鹿児島市内に新設されるビルの壁面をどのようなものにするか検討しています。
鹿児島市内は桜島の噴煙等で屋根、壁が非常に汚れ易いと聞いています。
その汚れの対策を打ちたいのですが噴煙の成分とは
どのような物なのでしょうか?
(どのような汚染物質を想定して対策を打てばよいか)
是非ご教示お願いします。
(4/9/98)
URANO:建築関係:37
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A |
噴煙は火山から放出された火山灰などの細粒物質と火山ガスや水滴から成っ
ています。火山ガスには水蒸気のほか、二酸化炭素ガス、亜硫酸ガス、塩化水
素ガス等が含まれています。
屋根や壁が非常に汚れやすい原因としては、細かい火山灰が屋根や壁に付着
することが第一に考えられます。また、火山灰には微少な水滴や火山ガスの成
分などが付着しています。雨などで火山灰が湿ると、火山灰に付着している亜
硫酸ガスや塩化水素ガスなどが溶けて、火山灰に含まれる水が強い酸性を示す
ことが考えられます。これは、ちょうど酸性の溶液が屋根や壁についてしまっ
ているのと同じ状態になります。
屋根や壁に対して、酸性の溶液がどのような影響を及ぼすかは、私にはわか
りませんが、酸に対してなんだかの検討をすることが必要なのではないかと思
います。
(4/15/98)
森 俊哉(東大・理・地殻化学実験施設)
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Question #1047
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Q |
今、現在の三宅島雄山の噴煙の状態、風向・風速等が知りたいのですが、HP等あれば教えていただけないでしょうか。火山性ガスがどの方向へ流れていくのか、だいたいの予測を知りたいのです。日本気象協会のサイトの「アメマメ分布図」は、ある時間に噴煙があったと想定して、の拡散予想図で、リアルタイムでの状況から計算したものではないようですので。
(09/22/00)
水本 みか::
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A |
三宅島から放出される火山ガスは,風下側に流されて関東や遠くは阪神地区にまで異
臭騒ぎをもたらしていますね.
三宅島の風向などの現状を報告しているサイトは残念ながらないようです.一日前の
予測ですが,気象庁は前日に発表される火山観測情報で,翌日の風向・風速予報を出
しています.また噴煙の状態については,御蔵島に設置されている東大地震研究所の
御蔵島カメラ(はちろうカメラ)が公開されているものでは唯一でしょう.
三宅島火山監視カメラ(御蔵島カメラ)
また1時間おきですし,曇っていると必ずしもうまくいくとは限りませんが,気象衛
星「ひまわり」の可視光画像を使うと,三宅島からの噴煙がどちらに流されているか
がわかることがあります.日本気象協会webページのひまわり映像から「日本(可視)
」を選ぶと,1時間おき24枚前の画像まで見られます.同じく可視画像の日本周辺の
拡大したものは,高知大学気象情報頁にあります.
日本気象協会ひまわり画像
高知大学気象情報頁
(9/22/00)
川辺禎久(工業技術院・地質調査所・火山地質)
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