噴火現象と噴出物・岩石・鉱物
噴煙の色 |
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Question #10
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Q |
桜島を毎朝、撮影してますが、白い噴煙と灰色の噴煙がありますが
成分は同じなのか、白い噴煙は蒸気煙(?)なのでしょうか?
灰色の噴煙は「灰」(?)の含有率が多いだけなのでしょうか?
それから、噴煙(灰色)が多量にでた次の日は雨になるという
パターンが多いようですが、気象と噴火の因果関係は考えられないものでしょうか?
(2/16/97)
後潟 淳:デザイナー:38
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A |
まず、噴煙の色のことですが、光線の加減と水蒸気量の多寡によって白色に
見えたり灰色に見えたりすることがあります。
それから、火山灰の混入の有無についてです。白色の噴煙の場合は疑う余地
がありませんが、もし灰色の噴煙をごらんになった場合には、その風下側に注
目してくだされば火山灰の混入の有無は区別が付きます。もし火山灰が混じっ
ているならば、水蒸気のもこもこしたものが消えたあとに黒い霞が風下側にな
がくたなびきます。あるいはご存じかもしれませんがここが区別のポイントで
す。
最後に気象と噴火の因果関係についてですが、現在のところ回答者自身も定
説を知りません。おそらく火山からの影響もあるにはあるでしょうが、その他
の要素からの影響がもっと大きいのではないでしょうか。
余談ですが、火山学者が一番知りたい(みたい)現象はなぜか天気が悪くて
火口方向が見通せないときに起きることが多いようです。
筒井智樹(京大阿蘇火山研究施設)
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Question #216
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Q |
火口から出る噴煙の色で噴出しているガスの成分などが分かるのでしょうか?
ちなみに青味かがった噴煙の成分は何なのでしょうか是非教えてください。
(5/26/99)
淺野眞邦:公務員:42歳
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A |
経験的には青い色の噴煙には二酸化硫黄(SO2)が多く含まれているようです。二
酸化硫黄自体は無色ですが二酸化硫黄と大気中の水分が結合して生じた硫酸のミスト
が色の原因ではないかと思われます。この類の噴煙は高温の溶岩から放出されるよう
です。溶岩がまだ地表に出ていないのに青色の噴煙が出る場合はマグマがかなり浅い
ところまで上がってきたことが予測されます。
他の色については,単に白っぽい噴煙はもっとも一般的ですが水蒸気を主体とします
。しかし水蒸気以外のガスは無色なのでそれらのガスの濃度は色だけでは分かりませ
ん。最近では赤外線を利用して噴煙のなかの成分を遠隔的に測定する研究が進んでい
ます。
黄色かったり茶色や灰色の噴煙はガスのほかに火山灰を含んでいます。激しい噴火の
際とか火砕流が発生したときに見られます。
(5/27/99)
大場 武(東京工業大学・草津白根火山観測所)P>
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Question #448
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Q |
有珠山の噴火について
噴煙の色が黒っぽいの時と灰色っぽいの時の2種類の時があるのは何故ですか?
粘性が高いマグマは、二酸化珪素の割合が多く、白っぽいと。高校生の時習った記憶があるのですが。
(04/03/00)
runrun:サラリーマン:35歳
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A |
なるほど火成岩の色と結びつけてお考えになりましたか.確かにおっしゃるとおり,
二酸化珪素の多いマグマには,その分だけ鉄などの元素が少なくて,したがって色の
ついた鉱物(有色鉱物)の分量も少なくなります.二酸化珪素の多い火成岩(花こう
岩など)が白っぽいのはそのためです.火山噴火で飛び出してくるマグマの破片は急
速に冷却して火山ガラスになっています.ガラスもやはり二酸化珪素が多いものほど
白っぽい,あるいは透明なものとなっています.
ところで,有珠の噴火で見られる真っ白い噴煙の正体はほとんど水です.上昇する噴
気の中の水蒸気が,上昇した結果冷やされたために,細かい水滴になったもの(つま
り湯気)です.それに細粒の固形物が加わると噴煙の色は灰色っぽくなり,さらに量
が増せば黒っぽくなります.有珠の噴火の場合,加わっている固形物は,火口あたり
を作っている山体の岩石が水蒸気爆発で破壊された破片などです.
(4/13/00)
三宅康幸(信州大学理学部地質科学)
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