火山についてのQ&A |
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Question #2580 | |
Q |
火山のない埼玉で生まれ火山に憧れそして栃木に住み着いてから8年になります。日光、那須、高原と火山と温泉に恵まれていますが栃木の二つの活火山について質問があります。 @那須茶臼岳について 昭和28年頃最後の小噴火があったと聞きますがどの程度のものだったのでしょうか。現在山頂部は観光客でごった返してますが現在もし同程度の噴火があるとしたら事前予知はどの程度可能なのですか(水蒸気爆発は予測しにくいと言われるので少し不安です)。 A日光白根山について 最近まで前白根や五色山が外輪山で奥白根がカルデラの淵に出来た中央火口丘だと勘違いしてましたが両者は形成された時期が全く異なるそうですね。しかし現場にいってみるといかにも前白根、五色山の稜線は外輪山で五色沼は火口原湖に見えます。奥白根との関係はないとしてもこの『外輪山もどき』が古い時代の小カルデラのなごりという事はないのでしょうか。 以上2点、よろしくお願いします。 (09/03/02) アマンタジン:医師:27 |
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A |
那須茶臼岳の最近の噴火としては,明治14年(1881年)の噴火が最大規模のもので す.現在の山頂の西側直下にある無間火口から生じた水蒸気爆発で,茶臼岳周辺には 30cm余りの厚さで火山灰が降り積もり,噴石も飛来しました.茶臼岳周辺は一面灰色 の世界となり,多くの立木が枯れました.降灰は東方の白河市付近でもみられ,那珂 川では沢山の魚に被害があったということです.この規模の噴火が起きれば,ロープ ウェイ山麓駅あたりまで,降灰や噴石で大きな被害を被り,観光客への人的災害もか なりのものになると予想されます.昭和28年(1953年)の噴火では,やはり無間火口 で水蒸気爆発噴火があり,南方6kmまで降灰がみられました.この規模の噴火では, 噴石も山頂火口周辺には飛来したでしょうから,ロープウェイ山頂駅から上に観光客 がいれば,大きな人的災害をもたらすものと思われます.水蒸気爆発の予測は確かに 難しいところがありますが,噴気や火山ガス,火山性地震などのモニターをきちんと やっていれば,ある程度の予測はできるのではないでしょうか.那須火山の観測体制 はこれまで必ずしも十分とはいえませんでしたが,最近になってかなり整備されつつ あります. 前白根や五色山の稜線は新第三紀の古い火山岩類から構成されており,第四紀の火 山ではありません.これらの稜線が作る馬蹄型の地形はこの付近の山地によくみられ る浸食地形であってカルデラではありません. (09/04/02) 高橋正樹(日本大学・文理学部・地球システム科学) -- |