火山についてのQ&A集

Question #273
Q 伊豆の大室山には何故木が1本も生えていないのでしょうか?

幼稚な質問で恐縮ですが、よろしくお願いいたします。 (9/28/99)

将軍:団体職員:52

A
 大室山は,最新のデータにもとづくと,4000年くらい前の噴火によって誕生した新 しい火山です.地質学的には,4000年前というのは,ついこのあいだと言ってもよい 新しさです.しかし,いくら新しいと言っても,4000年間は森が成長するのに十分過 ぎる時間です.じつは,毎年,観光行事として大室山の山焼きがなされているのです. たとえば, http://www.siz-sba.or.jp/ito-duo/izu-ito/yamayaki.htm をご覧ください.だから,大室山上の植物の成長は毎年リセットされ,いつも火山本来 のもつ美しい円錐形があらわになっているのです. (9/30/99)

小山真人(静岡大学・教育学部・総合科学)


Question #271
Q はじめまして。大学で自然地理を勉強しています。授業で、大分県の国東半島について発表したんですが、国東半島が北に偏っていて、それは両子山火山が噴火してからだと文献には書いてあったんですがなぜそうなったのか教えてください。また、耶馬溪層と、耶馬溪溶岩がどんなふうに違うのかを教えてください。あと、第三紀火山と、現在の第四紀火山はどのように違いがあるのかを教えてください。お願いします。 (9/25/99)

TAKE:大学生:19

A
 確かに地理的に見て国東半島は,九州島の東北端にあって突き出しています.国東 半島では,南部に基盤の花崗岩類が露出しており,その上に鮮新世(約500〜170万年 前)の火山砕屑岩類と,第四紀の両子火山噴出物が覆っています.すなわちこの地域 に火山活動があったからこそその堆積物が厚くたまることにより,現在も陸地である ことがわかります.
 しかしながら,両子火山が噴火する前は陸地でなかったのかどうかについては,は っきりしません.両子火山よりも古い火山砕屑岩類を詳しく調査したところ,大部分 は河川によってはこばれたものであり,湖底や海底であったというわけではないよう です.
 耶馬溪層,耶馬溪溶岩は現在では,いずれもほとんど使われていません.耶馬溪層 というのは,大分県北部の耶馬溪地域を中心とする地域にひろがるやや成層した火山 砕屑岩類に対して命名された地層名ですが,これらは複数の異なる時代に堆積した地 層群であることが判明したため現在ではあまり使われなくなりました.また,耶馬溪 溶岩というのは,溶結した火砕流堆積物であることが判明し,現在では耶馬溪火砕流 堆積物と呼ばれています.耶馬溪火砕流は,約100万年前,九重山北方にある埋没し たカルデラ,猪牟田(ししむた)カルデラを噴出源とすることがわかっています.この 耶馬溪火砕流の噴出に伴って,火山灰が偏西風にのって飛散し,近畿地方や,房総半 島や新潟にまで達しました.この火山灰はピンク火山灰などと呼ばれ,地層の時代を 決める鍵層として有名です.
 最後に,第三紀火山と第四紀火山の違いですが,言葉の上からは,第三紀火山は約 6500〜170万年前の火山,第四紀火山は170万年前以降現在までの火山ということにな ります.単に火山と言う場合は第四紀の火山を指す場合が多いようです.第三紀の火 山の場合,生成してから寿命を終え,長い時間がたっているために,浸食により火山 のもともとの形(火山地形)は失われて,火山の断面やごく一部のみが観察できること が多いようです.第四紀火山の場合は,新しいので,新鮮な火山地形がよく保存され ていて,その一部は現在も活発に活動しています.  (11/28/99)

星住英夫(工業技術院・地質調査所・地質部)


Question #269
Q 世界の火山の中で、一番高い火山は何という火山ですか。というのは、帝国書院の地図帳によると、地図の中には、 (9/17/99)

枝松 知佳恵:unknown:unknown

A
 回答が遅くなってしまいました.
 歴史時代に噴火記録のある火山のうちで,最も高いものは中部アンデスのルライラ コ(Llullaillaco)火山です.この火山はチリとアルゼンチンの国境にそびえており 標高が6739mです.また,噴火記録はないものの最も高い火山とされるのは,同じく 中部アンデスで,ルライラコの南にあるネバド・オホス・デル・サラド(Nevado Ojos del Salado)火山で標高が6887mです.中部アンデスでは火山が乗っかっている 地盤の標高が4000mもありますから,これらの火山が日本の火山に比べて飛び抜けて 大きいわけではありません. (11/27/99)

中田節也(東京大学・地震研究所・火山センター)


Question #267
Q こんにちは。僕は中学3年生です。 理科の自由研究で、火山の事を調べました。 その時、火山にすごく興味を持ちました。 将来、火山学者になりたいと、今も思ってます。 それで、火山学者になるには、どんな道を歩めば 立派な火山学者になる事が、出来るのですか? 火山に直接関係の無い質問ですいません。 (9/3/99)

一中3年生:学生:14

A
 将来、火山学者になりたいと思っている中学生がいることは、火山の研究者の一人 としてたいへんにうれしく思います。火山学者というのは、最初はみんな火山に興味 を持つことから始まって、勉強を続けていった人ばかりなので、あなたも十分になれ る可能性があると思います。まずあなたが、火山のどのようなことを知りたいのかを 、明確にしてみてはどうでしょうか。それに従って必要な知識とか概念とかを勉強し てゆくことが、最も近道だと思います。日本や世界の火山を知るために、火山学会の ホームページにリンクされている火山のサイトを追いかけてみるのは、居ながらにし てできる簡単な方法です。次に、本を読んで火山について知るというのが、最もオ ーソドックスな勉強法でしょう。以前にもこの欄で紹介したことがあるのですが、火 山に関する内容を含んでいて、とてもわかり易く書かれており、最先端の学問をきち んと踏まえている良い本を3冊紹介しておきます。
 「火山と地震の事典」、藤井敏嗣・著、大日本図書、てのり文庫534、580円。
 「火山の話」、中村一明・著、岩波新書、黄版35、580円。
 「地震・プレ−ト・陸と海」、深尾良夫・著、岩波ジュニア新書92、631円。
 さらに実際に火山を訪ねて行き、直接自分の目で見るというのが、とても大事だと 思います。何でもそうですが、本を読んで調べたりした後に、本物を見に行くとす ごく実感がわいてきます。そして次々と新たな疑問点も出てきて、もっと調べてこれ らを明らかにしたいと思うようになります。こうして火山の勉強がどんどん進んでゆ くし、第一こういう作業はとても楽しいものです。初めて火山を見に行くときには、 築地書館から現在順次刊行されている「高橋正樹・小林哲夫編、フィールドガイド・ 日本の火山」のシリーズが便利でしょう。地域ごとの分冊になっていて、どこに行け ばよいかが地形図の上に示されているので、参考になると思います。
 火山についての勉強は、中学校では「理科第2分野」で、また高校では「地学」で すると思います。現在、高校の地学は選択制になっているかと思いますが、あなたの 進学する高校で開講されていたら、是非受講してみると良いと思います。また、さら に将来大学で火山学を勉強していこうとすれば、地学に関連する学科や専攻(地球科 学・地球惑星科学・地質学・地球物理学・地球化学)のあるところへ進学するのがよ いと思います。ただし火山を専門にしている教員がいる大学は限られていますので、 本屋さんで大学案内を調べたり、火山学会のホームページにある「全国の地球科学関 係(研究所,教室)」なども、参考にしてみてはいかがでしょうか。また、火山とい うのは国境を越えて共通する自然現象なので、火山学は国際的に通用する学問です。 従って、中学・高校・大学を通じて言えることですが、英語の勉強をしっかりしてお くと色々なところで役に立つと思います。例えば、将来外国で噴火が起こった時に、 あなたが調査に行くことになるかもしれません。是非、英語に関しては、読む・書く だけでなく、聞く・話す能力も身につけるようにして下さい。
 火山を専攻することになったら、是非日本火山学会に入って下さいね。学会の後で 開かれる火山巡検(みんなで野外に出て火山を見に行く小旅行)にも参加することが できます。実際に火山を見に行って色々と疑問が出てきたら、Q&Aのコーナーにまた 質問を寄せて下さい。若き火山学者の誕生を楽しみにしています。 (9/13/99)

鎌田浩毅(京都大学・総合人間学部・地球科学)


Question #266
Q こんにちは。 先日、マレーシアの友人から、富士山は噴火しないのか、という質問を受けたのですが、 「確か富士山は、休火山だから大丈夫・・・?」 と思ったものの、休火山と活火山の定義の違いって、何なのでしょうか。 一般的に休火山とは、活動停止中の火山と聞きますが、何年以上活動停止していると休火山、 などの具体的な定義はあるのですか? また、休火山の場合、今後の噴火の可能性などはあるのでしょうか。 (9/3/99)

後藤:学生:24

A 「休火山」という言葉は火山学ではもはや使用しないことになっています.御質問の ように定義がいかにも曖昧だからです.富士山はここ300年ほど噴火をしていません が,れっきとした”活”火山です.噴火と噴火の間の休止期間は火山毎にまちまちで, 数年のこともあれば数千年のこともあります.また,ひとつの火山でも,ある一定の 休止期間をおいて噴火を活発に繰り返す時代とそうでない時代を持っていることが普 通です.関連して過去の質問(260番,244番,8番)の回答を参考にして下さい. (9/4/99)

中田節也(東大・地震研究所・火山センター)


Question #263
Q 学校の自由研究で温泉について調べてくるように言われたのですが、私は温泉の成分と火山の形(火山のでき方)との関連を、テーマに調べているのですが、あまり関連する資料が見つかりません。もしよかったら教えて下さい。 (8/31/99)

那智王:学生:14

A 火山と温泉の関係に関して一般向けに書かれた書物は少ないのですが次のような文献 があります。 1)「岩波講座 地球科学7,火山」 の第8章 2)雑誌,「科学」(岩波書店)の記事,第48巻41−52ページ(1978年) 3)ポピュラーサイエンス,熱水の地球化学 松葉谷治著 裳華房 3は書店で入手できるかもしれませんが1と2は大きな図書館に行って閲覧しなくて はならないと思います。 (9/2/99)

大場 武(東京工業大学・草津白根火山観測所)


Question #262
Q 学校のふるさと教育で「八幡平・焼山の噴火当時の様子について調べ発表することとなりました。 意外にも資料が少なく,困っています。 噴火の仕組みや,その当時の様子,現在の状態など教えていただければうれしいです。 (8/29/99)

11年ぶりの八幡平縦走で疲れている5年担任:教員:38才

A 焼山と八幡平について、それぞれ分けてお答えしましょう。 焼山は一昨年の8月に小さな噴火が起きた火山です。明治や昭和にも何回か小噴火が 起きており,活動的な火山です。焼山火山の噴火活動は約30万年前から現在に至る まで断続的に続いています。そして、時代によって噴火の様子が変化していることが 分かっています。約30万年前から数万年前にかけては安山岩マグマが地下から上昇 し、溶岩や火山灰が噴出して現在の山頂を中心とする直径約7kmのなだらかな形の 成層火山ができました。この活動の初期には、それ以前に存在していたカルデラ湖を 溶岩が埋め立てていったようです。一昨年の澄川温泉の地滑りで現れた巨大な崖で は,焼山の溶岩が湖水に流入し,爆発が起きて生じたスパイラクルというものが観察 されました。成層火山ができた後,今度は山頂火口内でデイサイト質溶岩が数回にわ たって噴出しました。これらは小さな溶岩ドームを形成しました。焼山火口内の鬼ヶ 城はその一つです。その後,現在に至るまで何度か爆発的な噴火が起きています。こ の爆発的噴火の多くは、「水蒸気爆発」と呼ばれるもので,マグマが噴出せずに,泥 などが噴出しています。一昨年起きたのも水蒸気爆発でした。 次に八幡平について説明しましょう。ご質問された方は,八幡平を縦走されて土地勘 をもたれているようですね。もう一度八幡平の地図を見てください。八幡平付近に は,八幡平頂上の他に,茶臼岳,前森山,恵比寿森などたくさんのピークがありま す。実はそれぞれが独立した火山と言ってよく,たくさんの火山が集まった「火山 群」を成しているのです。これらの火山は,現在はもう活動を終了しています。噴火 活動のあった時代も火山により違っており,八幡平山頂付近ができたのは約70万年 前,八幡平スキー場付近の恵比寿森や大黒森は約30万年前,安比スキー場のある前 森山は約15万年前頃の噴火活動でできました。それぞれの火山についても噴火の歴 史があるのですが,詳しいことは分かっていません。言えることは、どの火山も玄武 岩〜安山岩質の溶岩の噴出によって形成したということと,現在は活動を終えて山体 が消えつつあることです。 八幡平についてもうひとつ付け加えておきます。八幡平では過去に巨大な地滑りが何 度も起きています。その規模は一昨年の澄川どころではありません。巨大地滑りにと もなう大きな崖が至る所で見られます。八幡平山頂の南側にも大きな滑落崖がありま す。八幡平の火山体は,河川によるゆっくりとした浸食よりも、このような地滑りに よって消えゆくようです。ところで,八幡平山頂付近には火口と思われる池がたくさ んあります。この火口は東西に細長い列をなしています。この列の方向はすぐ南の滑 落崖の方向とよく一致しています。このことから,巨大地滑りに伴って生じた亀裂に 沿って,地下から水蒸気が上昇し,水蒸気爆発が生じて火口列ができたと考えている 研究者もいます。 なお、私がお薦めしたい資料は、(財)自然公園美化管理財団発行,(財)自然環境 研究センター編集の「新・美しい自然公園14八幡平」です。 (8/31/99)

大場 司(東北大学・理学部・地球物質科学科)


Question #261
Q こんにちは。私は中学3年の多緒といいます。 先日、小学生のいとこが、浅間山に行ってきてふもとにあった溶岩があつかった、と言っていました。 それは、太陽の熱であったまっただけ、と答えましたが溶岩は他の石よりあたたまりやすいということ はあるのですか。
 それと、私も宿題で浅間山の事を調べようとしたのですが、なかなか見つかりません。 よろしかったら噴火したのはいつだったのか、ということだけでもおしえてください。 あと、インターネット上ではどこにあるのでしょう。
 ばかな質問で申し訳ありませんがよろしくお願いします。 (8/21/99)

15さい。:中学生:15

A 夏休みであちこちの火山を見に行った人も多いようですね.宿題で火山のことを調べ ようとしている人も多いようで,火山に興味を持ってもらうことはとてもうれしいで すね.

まず溶岩は他の石よりあたたまりやすいかについてお答えします. 浅間山のふもとの溶岩と言うと,浅間山の北側に流れた鬼押出し溶岩流のことでしょ うね.新しい溶岩が流れたところでは,森や林が埋め立てられたり,焼かれたりし て,溶岩の上には全く植物がなくなってしまいます.ですから日陰がなく,日光が直 接当たってしまう状態がしばらく続きます.気候にもよりますが,何百年何千年の時 間がたつと,次第に植物が溶岩の上を覆いはじめます.でも鬼押出し溶岩はできてか らまだ220年ほどしかたっていないため,まだ植物に完全に覆われていないのです. そのため日光によくあたって暖められるので,特に暖かく感じるのでしょう.また溶 岩は,いったん暖まるとなかなか冷めにくい性質を持っています.これは熱が伝わる はやさが,溶岩などのケイ素を主成分とする岩石では遅いからです.他の岩石の大部 分もケイ素を主成分としますから,溶岩と大きく違うことはないと思います.火山の 近くのいくつかの観光地では,溶岩が冷えにくいことを利用して,溶岩の板を熱して 肉を焼いたりする料理を名物にしているところもあります.余熱を利用してじっくり と焼くことができるので,おいしく料理することができるのだそうです.

つぎは浅間山についてです. 浅間山は,およそ4万年前くらいから噴火を始めた火山です.まず今の浅間山山頂の 西にある黒斑山が成長したあと,いったん崩れてしまいます.崩れたあとが牙山など の東に開いた馬てい形の火口です.それを埋めるように,仏岩火山,前掛火山が成長 し,今見られるような浅間山の姿を作っています.人間が書いた記録がないのに,4 万年前のことがどうしてわかるのかというと,噴火で吹き上げられた軽石や,崩れた 堆積物,火砕流などの積み重なりを調べることでわかるのです.最近1000年程の人 間の記録がある時代になると,浅間山の噴火の記録はかなり多くなってきます.最も 最近の大きな噴火は,江戸時代の1783年(天明3年)の噴火で,まず軽石の放出では じまり,火砕流,溶岩流が流れ出しました.鬼押出し溶岩流はこの時の噴火で流れ出 した溶岩です.火砕流とそれによる岩屑なだれで,浅間山の北側ふもとの鎌原村で 477人が亡くなったほか,吾妻川に流れ込んで泥流となり,下流で900人ほどの人が 亡くなっています.20世紀になってからも,山頂での噴火を何度もくり返していて, 登山者が何回か犠牲になっています.

浅間山のことをもっとくわしく知りたい場合は,学校の図書室や図書館などで火山の 本をさがしてみて下さい.いくつか本の名前をあげておきます.
 空から見る日本の火山 荒牧・白尾・長岡編 丸善
 写真で見る火山の自然史 町田・白尾著 東大出版会
 フィールドガイド日本の火山(1)関東・甲信越の火山I 高橋・小林編 築地書館 またインターネットでは,群馬大学の早川さんのページを参考にするとよいでしょう. (8/25/99)

川辺禎久(工業技術院・地質調査所・環境地質部・火山地質課)


Question #260
Q 夏休みの地理の自由研究で北海道の火山について調べる事にしましたがあまり調べる資料がなくて困っています。 現在中学一年生です。北海道には現在活火山はいくつありますか?休火山、死火山はいくつありますか? 火山にもいろいろあるようですが楯状火山、鐘状火山、円錐火山はどう違うのですか?でき方が違うのですか? 北海道の火山と本州や九州などにある火山との違いは何ですか?最後に火山とプレート、地震についての関連性 に付いて教えてください。お願いします。もうすぐ夏休みが終わってしまいます!! (8/19/99)

佐藤みゆぽん:中学一年生:13歳

A 北海道の火山については築地書店のフィールドガイド「日本の火山(3)北海道の火 山(高橋・小林編)」が参考になるでしょう.北海道には気象庁が決める活火山が15 あります.知床硫黄山,羅臼岳,摩周,アトサヌプリ,雌阿寒岳,丸山,大雪山,十 勝岳,樽前山,恵庭岳,倶多楽,有珠山,北海道駒ヶ岳,恵山,渡島大島です.休火 山という言葉はすでに死語で使われなくなってきています.火山の一生を考えると 「休んでいる」との定義があまりに曖昧すぎるためです.円錐火山はほぼ成層火山の 意味で,溶岩と火山砕屑物が積み重なり,中心ほどうず高くなって円錐状になったも のです.楯状火山はハワイのように,山の高さに比べて広がりの大きい緩い傾斜の火 山です.粘り気の低い溶岩からなる火山の特徴です.また,鐘状火山という言葉は火 山の分野ではもはや使いません.溶岩ドーム(円頂丘)のように,粘り気のある溶岩 からなるお椀(お寺の鐘)を伏せたような火山に用いられていました.北海道と日本 の他にある火山では特に違いがありません.カルデラを作るような火山が多い点では 九州に似ています.日本の火山活動は,海洋プレートの沈み込みに大きな原因があり ます.また,プレートの沈み込みによって巨大地震が起きます.また,一旦できたマ グマが地殻を上昇する時に火山性の地震が起きます.特に噴火の前に火山性の地震が 多くなります.このことについてもっと知りたければ,図書館や学校の図書室で火山 の本や辞典を調べてみましょう.大きな本屋さんにも分かりやすい解説書がいくつも おいてあるはずです. (8/24/99)

中田節也(東大・地震研究所・火山センター)


Question #259
Q こんにちわ、もしかしたら以前の質問集にもあったかもしれませんが、溶岩樹形というのは、 どのように、そしてなぜ出来たのでしょうか?よろしかったら教えてください。 職場の人の中学生の息子さんの夏休みの宿題の課題らしいのですが、探しても資料が見つからないとのことでした。

(8/16/99)

しがない栄養士:管理栄養士:28

A 溶岩樹形とは変わった宿題ですね.
 読んで字のごとしで,立木が溶岩に埋まってできた様々な痕跡を溶岩樹形と呼んで います.溶岩がねっとりしたものであれば木はなぎ倒されたでしょうが,立木のまま であったということは,比較的さらっとした粘性の低い溶岩でした.だから富士山青 木ヶ原溶岩,あるいはハワイの玄武岩質溶岩に特徴的です.
 木は多くの場合高熱のために燃えてなくなってしまいます.逆に溶岩は木に触れた 部分が速く冷却されて固まります.ですから,木の形をした空洞となっていることが 多く,また,木に冷やされた溶岩が固まって中空の木の形を作った後に,周囲の溶岩 はさらに先の方へ流れていくために溶岩流全体の”水位”が低下して,中空の木の形 (これが狭い意味での樹形)が屹立しているなどという造形をなすことになります.
 それ以外にも,別段屹立していなくても溶岩流の内部に木の形の”穴”があいてい て,穴の壁に木の表面の模様や,穴の上に燃えてできたガスが抜けた跡があったり, また,中の木が燃えなくて,炭や,時には生木で残っていたりするものも樹形の一種 です.
 溶岩に限らず,火砕流に飲み込まれた木の作る樹形も浅間山などで見ることができ ます. (8/17/99)

三宅康幸(信州大学・理学部・地質学教室)


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