火山についてのQ&A集 | |
---|---|
![]() ![]() | |
Q |
一時岩手山に臨時火山情報が出されていましたが、その後どうなっているのでしょう。噴火に至らなかった理由は何なんでしょう。また、最近富士山のことが話題になっていますが、最新の情報を教えて下さい。
(02/06/01)
みやちゃん:公務員:44 |
A |
岩手山では,1998年2月下旬から火山性地震が増加し,3月には歪み計や傾斜計にも変
化が現れました.その後1998年6月23日に低周波地震,火山性微動が発生,火山性地
震もさらに増加したため,盛岡地方気象台が臨時火山情報第2号を発表し,噴火の可
能性を示しました.その後,地殻変動なども観測され,噴火の可能性があるとして,
観測体制の強化や,地元自治体などの対応体制整備,ハザードマップの配布などが行
われました.9月3日にM6.1の地震が岩手山西部で発生し,被害がありましたが,その
後地震活動,地殻変動とも落ち着いてきて,噴火は起こらずに現在に至っています.
地殻変動で,岩手山が南北に広がるような動きが観測されていましたし,岩手山の西
では,これまでなかったところに噴気地帯ができたりしています.地下でマグマや熱
水などの動きがあったのは,まず間違いありません.しかし噴火が起こらなかったの
は,上昇したマグマの量や浮力が足りなかったり,M6.1の地震の影響があったのかも
しれませんが,はっきりした理由はわかっていません.富士山でも低周波地震が昨年
秋に増加しましたが,今のところ火山性地震の活発化や,地殻変動は観測されていま
せん.低周波地震も今年に入ってから減っています.
(02/21/01)
川辺禎久(産業技術総合研究所・地質調査所・火山地質) |
![]() ![]() | |
Q |
生徒に「富士山の低周波地震って,何?」と質問され,答えに窮してしまいました。 どんなものなのか教えてください。 (02/06/01) ビッグ・ボイス:中学校教員:27 |
A |
富士山の最近の地震活動や噴火の可能性などについて、この質問を含んで数多く寄 せられました。ここでは地震活動についてだけまとめて回答します。 低周波地震ですが、文字の通りに、低周波(長周期)の地震波を放出する地震のこ とです。普通の地震は1秒間に10回以上揺れてすぐに終わるのですが、低周波地震で は1秒間に数回しか揺れず、しかも長く継続するのが特徴です。低周波地震はマグマ の活動に関係あると言われてはいますが、どうして低周波地震が発生するのかはきち んと解明されていません。 約2年前このQ&Aのコーナーに、富士山の低周波地震に関する質問(#204)に対し て、富士山の地震を研究を続けていらっしゃる鵜川元雄(科学技術庁・防災科学技術 研究所)さんは以下のようにお答えになっています。「富士山の低周波地震は、深さ 10〜20kmという地殻の中程で発生しています。このように、火山直下の地殻のやや深 いところからマントルの最上部で、低周波地震が発生していることは、1980年代から わかり始めました。噴火に呼応して、活発化する場合もあることから、地下のマグマ の動きと関連して発生していることは間違いないでしょうが、その詳細は不明です。 富士山では、観測網が整備された1980年以後、1年間に10〜20回程度の割合での 低周波地震活動が観測されています。静穏期や頻発期があるものの、現在もこの傾向 は変わっていません。(1999年4月5日)」 気象庁によると富士山では、昨年10月から年末にかけて、低周波地震の発生頻度が 月回数で100〜200回と急に増え、最近20年間の観測のなかでは最も多いものでした。 しかしこのこと以外、特に地下のマグマが活発化したことを示す兆候は今のところ捕 らえられていません。
ホームページ管理者 |
![]() ![]() | |
Q |
私は鹿児島郡の硫黄島に住んでいます。 今、硫黄岳のことについて調べていますが、 硫黄島は、桜島の6合目くらいのところに住んでいると聞きます。 もし、硫黄岳が爆発したらどうなるのですか? 島の被害などはどの程度なのですか? (02/06/01) ひろこ:中学生:13 |
A |
硫黄島へは私も何回か行きました.温泉はあるし,魚もおいしいし,島の皆さんも親
切で,大好きなところです.
硫黄島(活火山の名前としては薩摩硫黄島)は,6300年前の大噴火でできた鬼界カルデ
ラという海底のカルデラの後に,カルデラ縁の北西部分にできた火山です.硫黄岳の
標高は約700mですが,海底から測るとおよそ1000mの高さの火山です.鬼界カルデラ
ができてから,硫黄島ではすぐに火山の噴火活動が始まり,現在の硫黄岳付近で火山
が成長を始めました.その後3900年前くらいから3000年前くらいまで,稲村岳で噴火
が起きています.面白いことに硫黄岳と稲村岳ではマグマの種類が違い,硫黄岳では
流紋岩,稲村岳では玄武岩が噴出しています.その後硫黄岳の噴火活動が再開して,
現在に至ります.
今でも細かい火山灰が降ってくることがありますね.この火山灰は,マグマではなく て,古い岩石の粉が降っているものです.今くらいだとちょっといやだなあくらいで 済んでいますが,この量が多くなると火山灰の量が増えて困ったことになりますね. 最近3000年くらい前からの硫黄岳からの噴出物は,大部分がこういった火山灰です. 古い石の粉ではなくて,マグマが出てきた噴火の記録は,1934-35年の新硫黄島の噴 火があります.このときは海底からの噴火でしたが,大きな軽石が海上に浮かんだ り,溶岩が静かに噴出する噴火で,爆発的な噴火活動ではありませんでした.この他 には噴火の記録は見つかっていませんが,硫黄岳展望台周辺や東温泉近くには, 600年前くらいの放射性炭素年代を示す小規模な火砕流堆積物があり,硫黄岳で軽石 を飛ばすような噴火が,数百年前に起こっていたことが,最近わかってきました.こ のようなマグマが出てくるような噴火になると,軽石が降ってきたりするかもしれま せんし,硫黄岳の麓くらいまで小規模な火砕流が流れてくるかもしれません.また海 底で噴火が起きると,場合によっては激しい爆発的な噴火も起こりえます.ただ町が ある長浜付近には,大きな軽石や火砕流が到達した跡はありません. (02/21/01) 川辺禎久(産業技術総合研究所・地質調査所・火山地質) |
![]() ![]() | |
Q |
はじめて、質問させていただきます。 私は、名古屋市に住むものですが、スキーで大日岳、鷲ヶ岳方面によく出かけます。 さて最近、鷲ヶ岳も大日岳も火山であることを知りました。 そこで、鷲ヶ岳・大日岳について、どのような特徴があって、いつごろまで活動していたのか、 また、今後活動を再開する可能性があるのかなど、教えて頂けませんでしょうか? (01/28/01) ひろくん:教育関係:25 |
A |
どちらも岐阜県の火山だとしたら、「大日岳」は「大日ヶ岳」のことでしょう。
日本火山学会のCD-ROM版火山カタログによると、体積16立方kmの火山で、溶岩
のK-Ar年代値は93-103万年です。鷲ヶ岳は隣の烏帽子山と一体になった火山で、
体積は66立方km、溶岩のK-Ar年代は120-150万年です。因みに、富士山の体積
は548立方kmです。石川県にも「大日山」がありますが、これは330-360万年前の
古い火山です。これらの火山は、間にある経ヶ岳、願教寺山とともに、石川・福井県
境から岐阜県内にかけて、西北西−東南東方向に並んだ「九頭竜火山列」をつくっ
ています。この火山列のうち、大日山と願教寺山は約300万年前を中心に活動し、
経ヶ岳・大日ヶ岳・烏帽子・鷲ヶ岳は約100万年前を中心として活動しました。どれ
も安山岩の溶岩や凝灰岩を主とする成層火山ですが、玄武岩やデイサイトを含む
火山もあります。この地域で、60万年前から現在までに活動した火山は、南北方
向に並ぶ白山火山列をつくっており、九頭竜火山列が今後活動を再開する可能性
はほとんどないと思いますが、経ヶ岳では大規模な火山体の崩壊が起こったことが
はっきりしており、今後九頭竜火山列の他の火山でも、このような大崩壊が発生す
る可能性はあります。
(01/29/01)
石渡 明(金沢大学・理学部・地球学科) |
![]() ![]() | |
Q |
いつもご丁寧な解説ありがとうございます。 三宅島のスオウ穴ですがある時期から水がたまって池になっていますよね。火口湖が出来るには単に窪んでるだけではなく地下水の供給が必要と聞いたことがありますが、今回の噴火で地下水系に変化があってああなってると考えてよろしいのでしょうか。よろしくお願いします。 (01/17/01) ya-ka:医師:25 |
A |
火口に水が溜るための条件は何か?ということですね. まず,一般に,ある場所−水が溜るためには地形的に低いところ−の水の収支(出 入り)を考える必要があるでしょう.水の供給源(入りの方)としては,降水や,地 表水・地下水などの流入が考えられます.一方,流出する(出の方)のは,地下への 浸透,大気へ蒸発,地形的な窪みから溢れて下流へ(たとえば河川として)流出する 場合などが考えられます.これらの収支の全体のバランスを見た時に,湖あるいは水 溜りを維持できるかどうか,という問題を考えればよいわけです. 三宅島のスオウ穴について考えてみましょう.この火口は今からおよそ1200〜 1300年前の割れ目噴火の時に開いた火口で,2000年の噴火の前には水たまりはありま せんでした.普通,火山体は,スコリアなど火砕物が多く,がさがさで,目の粗い” ざる”に例えることができます.このような場合,いくら水が流入してもすぐに浸透 して(ぬけ去って)水は溜りません.スオウ穴もこのような状態であったと思われま す.しかし,7/14-15の噴火で細粒の火山灰がスオウ穴周辺で50cmないしそれ以上の 厚さで降り積もりました(大学総合観測班 http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/nakada/ash.htmlのデータ参照;スオウ穴の北にある 火口には25cm程度〜それ以下でした).その結果,”目詰まりしたざる”の状態にな って,地下への浸透が悪くなり,降水による流入量が勝って,7月下旬以降,水溜り ができるようになった,と考えることができます. カルデラの南東にある,おそらく西暦1535年の割れ目噴火の際にできた火口や,カ ルデラの底にも水溜りはできています. 大量の水のある火口(あるいはカルデラ)湖で噴火がおこると,爆発的なマグマ水 蒸気噴火を起こす可能性があります.三宅島でも将来カルデラ湖が形成される可能性 は高く,防災上,予め留意しておく必要があります. (01/18/01) 津久井雅志(千葉大学・理学部・地球科学教室) |
![]() ![]() | |
Q |
1979年9月に阿蘇山中の爆発で火口から850メートルの距離にあるロープウェーの火口東駅周辺で噴石により観光客の事故が発生した。この事故は活火山地帯を訪ねる一般観光客にとってきわめて教訓的である。この事故における観光客の‘危険から身を守る常識の欠如”とはなんですか?
(01/17/01)
よしゆき:学生:19 |
A |
(質問の意味がよく分かりませんが、一応以下のように回答します)
須藤靖明(京都大学・地球熱学研究施設・火山研究セ ンター) |
![]() ![]() | |
Q |
お忙しいところ申し訳ありません。 以前もどなたかが質問されているかも知れませんが、映画『ボルケーノ』について質問させていただきます。 『ボルケーノ』の中でタール池からマグマが噴き出すシーンがありましたが、池や湖などからマグマが噴き出すことはあるのでしょうか? また、タール池とふつうの池とは違いがあるのですか? あるHPであの映画はすべてが間違っていて、タール池からのマグマ噴出や、地下鉄にマグマが流れ込むというようなことはありえないという内容の文章を読んだのですが、本当にあり得ないことなのでしょうか? ばかばかしい質問かも知れませんが、とても気になっているのでどうか教えてください。 (01/15/01) 稔:会社員:23 |
A |
映画の中で噴火が始まった,ロサンゼルスのラ・ブレア タール池(La Brea tar
pit)は,実在のものです.タールとはコールタールのタール,つまり黒くて粘り気の
大きな石油のことです.ラ・ブレア タール池は,地下から染み出してきたタールが
窪みにたまってできた,石油の池なのです.映画の中でサーベルタイガーやマンモス
の像があったのを覚えていらっしゃいますか?ラ・ブレア タール池は,粘り気の大き
なタールに落ちて死んでしまった動物の化石が,大量に見つかることで有名なところ
です.
都市で噴火が起きたらという映画の発想としては面白いのですが,ロサンゼルスから 最も近い火山でも数百km離れていて,ロサンゼルスで噴火が始まるということは,ち ょっと考えにくいですね. 地下鉄の中を溶岩が流れるシーンです.ハワイなどでは溶岩流が,溶岩自身でできた チューブの中を冷えずに十数km流れることがあることが知られています.ですから, 地下鉄の中を溶岩が流れていくことはあり得ることかもしれません.ただ溶岩流は粘 性の低い玄武岩質の溶岩流でも,水よりはずっと粘り気が大きく,傾斜があまりきつ くない地下鉄の中を,映画のように大きな速度で流れることはまずないでしょう. 「ボルケーノ」については,#404と#363もご覧になってください.残念ながら科学考 証という点ではちょっと気になる点が多かった映画です. ここで映画を離れてみると,池や湖から噴火が始まることは特に珍しいことではあり ません.火口は普通くぼ地になっていますから,水がたまっていることも多いので す.ただ水があるとマグマと水が接触して,マグマ水蒸気爆発になることが多く,映 画のように噴水のように赤熱した溶岩を吹き上げることはあまりないでしょう.フィ リピンには,タール火山という火山があります.こちらは同じタールでもTaalという 湖の名前で,カルデラ湖です.湖の中央に浮かぶ島の周辺では,何回も噴火が起きて いて,激しいマグマ水蒸気爆発をおこすことで知られています. (01/16/01) 川辺禎久(産業技術総合研究所・地質調査所) |
![]() ![]() | |
Q |
はじめまして。埼玉で塾の講師をしている学生です。 先日、高校生から「富士山が噴火するとどんな被害があるの?」と聞かれました。学校の授業でレポ−トを書かされるようなのです。質問を受け、私も火山に興味があったので調べましたが、良い資料が無く困っています。噴煙による被害や火砕流など、富士山が噴火してから起こると予想される被害を詳しく教えてください。出来れば資料のあるHPも教えていただけると幸いです。よろしくお願いします。 (01/12/01) ヒロ:大学生:21 |
A |
富士山の火山災害予測についてはいまだにお寒い状況であり,いわゆるハザードマッ
プ(火山災害予測図)についてもきちんとした形で作成・公表されたものはありませ
ん.富士山のまわりには観光依存度の高い自治体が多く,観光への悪影響を懸念する
がゆえに災害予測図の作成がタブー視されてきました.昨年あたりから状況が好転し
つつありますが,災害予測の作業はまだ具体化されていません.したがって,現時点
では残念ながら「良い資料」はありませんので,不十分ながら以下の資料を参考にし
ていただく以外にないと思います.
・富士山火山防災ハンドブック
・海洋出版発行の「月刊地球」2000年8月号(特集号:富士火山の活動史と噴火災害 ).富士山の火山災害予測をテーマとし,火山学・火山災害の専門家の論説を集めた 特集号.富士山の火山災害予測についての現状や問題点を知るのに最適です.書店で 注文できます.
・損害保険料率算定会発行の報告書「火山災害の研究」(地震保険調査研究42)
・国土庁防災局(現内閣府防災担当)発行の「火山噴火災害危険区域予測図作成指針
」
なお,富士山の将来を予測する上で鍵となるのは,富士山の生い立ちや過去の噴火災 害履歴です.それを知る上で,以下のようなHPや本が参考になるでしょう. インパク静岡県パビリオン(火山の郷): http://www.7000m.com/inpaku/top.html 火山としての富士山: http://sk01.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/public_html/Fuji/Fuji.html 富士山の歴史時代の噴火: http://sk01.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/public_html/Fuji/fujid/0index.html 町田洋・白尾元理著「写真でみる火山の自然史」東大出版会(1998) 町田洋著「火山灰は語る」蒼樹書房(1977) 諏訪彰編著「富士山―その自然のすべて」同文書院(1992) (01/16/01) 小山真人(静岡大学・教育学部・総合科学教室) |
![]() ![]() | |
Q |
今、三宅島の噴火について調べています。 今回に噴火に関する情報は山ほどありますが、 1983年の過去の噴火や、それ以前の三宅島の噴火に関する情報見つけられません。 よかったら、詳しいことが載せられているURLを教えてください。 おねがいします。 (01/12/01) ととろ:学生:20 |
A |
1983年の噴火について詳しく記述したホームページは確かにあまりありませんね。以
下のいくつかのサイトでは、より地学的な情報について見ることができます。
・地震研究所の嶋野さんのページ 。
地震活動や噴出物について簡単に紹介しています。 ・日本火山学会の三宅島フォトギャラリー (英文です)。 噴火の写真がいくつか掲載されています。 ・国土地理院の「火山土地条件図。三宅島について」。 1983年噴火についての記述や図と写真があります。 (1/13/01) 中田節也(東大・地震研究所・火山センター)
|
![]() ![]() | |
Q |
はじめまして。 私は、建築の設計をおこなっている者です。 火山灰の事について教えて下さい。 現在、北海道の道南の駒ヶ岳の近郊に施設を設計しております。 避難施設としても活用したいと考えており 建物の屋根の仕上げ等を決めるにあたり 火山灰の温度、比重はどのくらいあるのか教えて下さい。 また、TV報道にて車の上や道路に溜まった灰を水で洗い流している 映像を良く見ますが、 無落雪屋根(フラットルーフ)等に積もった灰の処理はどのように しているのでしょうか。なにか、参考になる資料等ありましたら 教えて下さい。宜しくお願いいたします。 (01/09/01) kanayama:建築設計士:39 |
A |
火山灰の性質、粒径、厚さによって対処の仕方が異なりますので、一概には言えませ
ん。とはいえ、三宅島での事例について紹介したいと思います。
2000年7月14-15日の噴火による降灰は細粒(1mm以下)でした。当初、水に濡れるま では乾いた小麦粉のようなものでしたが、雨などで塗れたとたんに、ヘドロ泥状とな りました。その後、乾いたあとは堅い板状のモルタルのような堅い板状になり、つぎ に水をかけるとあっという間にしみこみ、さっと流れ出すという興味深い性質をもっ ていました。そのため、1cm程度と薄い場合には屋根に上って水を掛けるという方法 で洗い流すことも可能でした。 しかし、雨樋がある場合はそこに溜まりますし、第一大量の水が必要となります。ま た、流れ落ちた泥水はスリップの原因となるということで、水の使用は禁止されま した。そのため屋根に上がって、固結した固まりを物理的にはぎ取るという方法を採 らざる を得ませんでした。かといって乾いているうちに掃き落とすと、気管にや目 に入って始末に負えません。 道路上の火山灰除去も量の少ないときはロードスイーパーやバキュームカーも使用さ れましたが、大量の降灰には太刀打ちできなかったので場所によっては、コンクリー トミキサー車に水を満タンに入れて坂の上のほうから一気に灰ごと流すという方法も とられたようです。 このような性質のため、ほうっておいても雨が降れば自然に流れ落ちてきれいになり ますから屋根にはある程度の勾配があった方がよいと思います。雨樋はない方がよ く、流れ落ちた泥水を流せる水路や沈砂池もあるとよいかもしれません。 なお、フラットルーフの場合は雪のように解けませんから上に上がって除去する以外 に方法はありません。 なお、軽石やスコリアなどのように空隙の多い比重の小さな角張った粒子が厚くつも った場合には水で洗い落とすのは難しいと思われますので留意してください なお、火山灰粒子の比重は、一般に0.9-2.5くらい堆積した状態では空隙があるので もう少し小さくなります温度は、砂粒子以下の場合は無視できる程度と思いますが数 十センチの火山弾や軽石などの場合は高温のために、火災を引き起こしたという記録 がありますから、800℃程度のものもあると思われます。 (01/18/01) 千葉達朗(アジア航測株式会社・防災部) |