火山についてのQ&A集

Question #1763
Q 浅間火山観測所の裏手の崖と,西窪開拓道路脇の崖はどのように出来たのですか? (06/16/01)

蛍:中2:14

A 1)東京大学地震研究所浅間火山観測所の裏手の崖について:


 現在この崖に見えているものの大半は,今から200年以上前の江戸時代の大噴火 (天明3年)の時に降り積もった軽石や火山灰です.この崖では,灰白色の軽石や火 山灰の層が何枚も重なり合っていますが,これらの層の下には黒っぽい土の層が見え ていて,ここが噴火前の地表面であったことを示しています.この一帯では降り積も った軽石で2メートル近くも地表面が高くなったのです.この噴火については,当時 の人達が細かく書いて残したので,いつどのように軽石や火山灰が降ってきたかを知 ることができます.噴火は1783年の5月初旬から約3ヶ月続きました.この崖の軽石 や火山灰の層の下半分は主に8月2〜4日の間に降り積もり,上半分は8月4日夜から翌 朝に起きた,とても激しい噴火の時に降ってきました.この時には夕立ちのように激 しく“石”や“小石”が降ったそうです.“焼け石”(おそらく大きな軽石)も降っ てきて,火事が起きたり死傷者が出たので,当時の軽井沢宿の人たちはパニックにな って避難をしました.なお,観測所の構内では,地表をブルドーザーで削ったために 崖に軽石や火山灰が見えていますが,この近くでは,かつてもっと深い穴が掘られた ことがありました.その時には,天明3年の軽石や火山灰の層と同じような層が5メ ートル近くの深さまで出てきたそうです.浅間山が過去にも江戸時代のような大噴火 を繰り返してきたことの証拠です.下記の参考図書Aの「浅間火山」の章の地点1の 説明,Bの「浅間山」の章の本文と写真4.2にも解説があります.

2)西窪開拓の崖について:


 すみませんが,正確な場所がわかりません.地名からすると浅間山の火口から北に 12km位離れた地域と思われます.以下に考えられることを書いてみますので,崖の様 子を思い出してお考えになってみて下さい.
 ■地表から数メートルの間に黒っぽい土砂が見えている場合:同じく天明3年の大 噴火の時,軽石が激しく降ったあとに,北側の山麓にむかって“泥流のようなもの” が流れました.この時の土砂は,西窪開拓の付近にあった当時の集落を埋め立て,さ らに北側の吾妻川に流れ込んで洪水となり,多くの人々が被害を受けました.この時 に地表にたまった土砂は,西窪開拓の辺りでは,主に黒っぽい土砂から成りますが, その中にアメーバのような形をした黄色っぽい火山灰の部分や様々な色の岩塊,焦げ た木の破片などが入っていて,とても複雑です.どのようにしてこの“泥流のような もの”が流れ出したかについては,まだよくわかっておらず,専門家の間で議論が続 いています.
 ■崖に黄色っぽい軽石や火山灰が見えている場合:浅間山は1万年以上前に,天明 3年の大噴火よりもはるかに大きい噴火を繰り返していた時期がありました.1991年 のフィリピンのピナツボ火山の大噴火の時のように,巨大な噴煙の柱が火口の上にた って軽石が降り注いだり,火砕流もたびたび流れたようです.浅間山の北麓一帯で は,この時期に降ってきた,あるいは流れてきた火山灰や軽石が,人間が道路を作る 時などに削った崖や,川が削った崖に顔を見せています.参考図書Aの「浅間火山」 の章の地点6の説明,Bの「浅間山」の章の本文と写真4.6と4.7にも解説があります.

..参考図書...
 A「フィールドガイド/日本の火山(1)関東・甲信越の火山I」,高橋正樹・小林 哲 夫編,築地書館
 B「写真でみる火山の自然史」町田洋・白尾元理著,東京大学出版会
 (06/29/01)

安井真也(日本大学・文理学部・地球システム科学科)


Question #1760
Q 最近大島の噴火が沈静化に向かっていると聞いて喜んでいるのですが、テレビなどの報道で二酸化硫黄噴出量の単位がトンと言っています。 一日何万トンという膨大な量が噴出しているのですが、濃度のppmでは無くてなぜ重さの単位を使っているのでしょうか?
そして、一日の噴出量をどのようにして計算しているのでしょうか?
忙しい中このような質問をしてしまって申し訳なく思っていますが、宜しくお願いいたします。 (06/14/01)

八木慎吾:公務員:28

A
 質問の大島とは三宅島のことのようですね.
 火山活動の状態をみるのに適しているのは放出量の方であって,濃度ではありませ ん.しかし,人体等への影響については濃度が重要になります.つまり,どちらも実 は重要なのです.ですから,現在も,島内のSO2濃度と放出量は両方ともモニタリン グする体制を気象庁が中心となって整えているわけです.
 濃度は,場所によって違います.噴煙が垂れ下がってくると地表付近でも高濃度に なりますが,上空を漂っているのであれば地表では濃度が高くなりません.これは, 主に量に依存しているのではなく,風速等の気象要素に大きく依存しているようで す.
 放出量の求め方についてですが,COSPECという遠隔観測装置を使っています.簡単 に言えば,この装置は,ある波長の紫外線(光)の強度を測定する装置です.青空の 散乱紫外光を光源として,SO2が存在すれば紫外線のある波長の紫外線強度が下がり ます.それによって,紫外線が通過してくる線分上の積算されたSO2濃度がわかりま す.したがって,噴煙を横切るようにスキャンして観測すると噴煙の断面積のSO2濃 度がわかります.これに噴煙の移動速度(=風速)を掛け合わせれば,単位時間あた りSO2がどの程度移動しているのかわかります.これが放出量になります.現在,ヘ リコプターに搭載したCOSPECを真上に向けて,噴煙の下をくぐり抜けることによりス キャンしています.
 (07/02/01)

風早康平(産業技術総合研究所・深部地質環境研究センター)


Question #1747
Q 初めて質問します。浅間山ふもとに転がっていた石についてです。軽石のようにとっても軽く驚いてしまいました。でも色は市販の軽石のように白くなく、どちらかといえば黒や赤っぽい色でした。これは火山の噴火の時に出来るものなのでしょうか?火山の噴火といえばドロドロのマグマのイメージが先行しますが。またこの石は空気の穴がたくさんあるのですね。どうしてドロドロマグマがこのような軽い石までできるのか不思議です。こういった石は火山岩と呼ぶのでしょうか?つらつら書きましたが、浅間山で私が拾ってきた石について呼び方や特徴などを是非教えて下さい。出来ましたらメールアドレスまでお返事くださると大変助かります。 (06/07/01)

川口かえる:会社員:28

A
 かえるさんは浅間山で拾ってこられた石について,とてもするどい観察をなさいま したね.特に,たくさんの穴があることに目をつけられましたが,これには大きなヒ ントが隠されています.かえるさんが観察された“空気の穴”は,噴火の時に“ドロ ドロマグマ”の中に溶けこんでいたガス成分(大部分はH2O)がマグマから抜け出し てあぶくを作り,さらにそのガスがあぶくの中から空気中に逃げ出していった跡なの です.ですので,かえるさんの石は軽くて穴だらけだとは思いますが,火山の噴火の 時に出来た,れっきとした火山岩といえます.ドロドロのマグマが川のように流れる 噴火もありますが,あぶくだらけのマグマがばらばらに砕けて勢いよく噴き出す噴火 もあるのです.炭酸飲料の入った瓶の栓を開けた時に,あぶくがいっせいにできて, はじける様子を思い浮かべていただければよいかと思います.
 さて浅間山で拾ってこられた石の呼び名ですが,火山岩を化学的な性質から分けた 場合の呼び名としては,安山岩だと思われます.ふもとのどこで拾ったかにもよりま すが,浅間山の石の大半は安山岩なので,おそらくそうだと思います.
 また,噴火の時にマグマが砕けて固まったものの呼び名もいろいろあります.かえ るさんの石の場合は次のような理由でちょっと難しいです.火山学では,穴が多くて 白いものを“軽石”,黒いものを“スコリア”と呼びます.白いとか黒いとかの色の 違いは,マグマの化学成分の違いとだいたい対応していて,シリカ(二酸化ケイ素) 成分が多いほど白く,少ないほど黒くなります.例えば,有珠山の軽石は市販のそれ のように白いですが,富士山のスコリアはとても黒いです.ところが浅間山のマグマ は,化学成分が有珠山と富士山の中間ぐらいで,浅間山では焦げ茶や薄茶,あるいは ねずみ色の石が見つかります.そのような色の石を何と呼んだらよいか困るわけで す.さらにやっかいなことに,富士山と同じようなマグマが噴き出すハワイでは,黒 っぽいねずみ色のものが軽石と呼ばれています.山全体が真っ黒に近いハワイでは, ねずみ色は白く見えるということでしょうか.このような訳で,白と黒の中間色の時 は呼び方に困ってしまうのです.私自身は浅間山の穴だらけの石を研究しています が,いろんな色の石があるので,どちらかというと黒っぽい時はスコリア,ねずみ色 っぽい白の時は軽石と呼んでいます.なお,赤っぽい石はマグマ中の鉄分が酸化した ものと思われます.鉄錆びのようなものです. (6/12/01)

安井真也(日本大学・文理学部・地球システム科学科)


Question #1722
Q 温泉井戸と火山活動との関連性について質問があります。
北海道駒ケ岳付付近に宿泊施設があり、その敷地内から温泉をくみ上げているのですが
最近温泉の水位上昇,水温低下,水が濁る等の変化がありました。
この温泉は、地下1000m以上のところまでボーリングを行い、温泉をくみ上げています。
駒ケ岳火山活動による関係があるのでしょうか。
また、過去にこのような事例があったのでしょうか。
よろしくお願いします。 (05/21/01)

SAD:会社員:27

A
 火山周辺に湧出する温泉や地下水は,火山活動に伴って様々な変化を示すことがあ ります.火山活動に伴って温泉や地下水に異常が認めらた場合,以下のことが考えら れます.

(a)火山活動に伴いマグマから放出された熱や火山ガスなどが帯水層に影響を与え る.
  −>温度上昇,水質変化,水位変化.

(b)マグマの移動・発泡などにより地殻が変形する.
  −>水位変化.

(c)噴火活動の際,激しい地震動によって帯水層が乱される.
  −>水位変化,水質変化.

(d)マグマの移動・貫入等に伴い火口や断裂帯等が形成される.
  −>新たに熱泥水や温泉,地下水が噴出.


 予想される変化を比較して見ますと,(a)は温度上昇や水質変化が主で,場合に よっては水位変化が生じることもあります.異常は噴火後しばらくしてから現れる場 合の多いのが特徴です.それに対し,(b)と(c)は主に水位変化として短時間に 発生します.(d)はそれまで温泉や地下水が湧出していなかった場所に新たに出現 します.
 火山活動や噴火によって生じる温泉や地下水の異常は多くの火山で観測されていま す.


 北海道での比較的最近の事例を取り上げますと,十勝岳1989年の噴火活動の際,山 麓の温泉では泉温上昇,塩化物イオン濃度やナトリウムイオン濃度が顕著に増加しま した.この噴火では,それまでは低温で利用できなかった泉源が泉温上昇により浴用 可能となり,吹上温泉として多くの観光客が訪れる露天風呂(無料)として人気を博 しています.昨年,噴火した有珠山では,山体を中心とした広い範囲で噴火前に水位 異常が観測されました.この現象は,噴火の前兆として注目されました.有珠山北麓 の洞爺湖温泉・壮瞥温泉では,噴火後には100mにも及ぶ水位上昇が観測されたり,顕 著な泉温上昇や水質変化も観測され,現時点でも噴火前の状況には戻っていません.


 ご質問の北海道駒ヶ岳山麓でも1996年の噴火後,深度700〜1500mのボーリング井か ら汲み上げられている温泉の水質が変化したことが報告されています.しかし,深部 ボーリングにより開発された温泉源は,井戸障害による水位変化や水温変化,更には 水質変化を引き起こす場合もありますので,注意する必要があります.駒ヶ岳周辺で は浅部(深度300〜600m程度)で25〜35℃前後の良好な帯水層が発達する地域もある ため,実際に井戸障害により浅部帯水層から低温水が流入して水位上昇,泉温低下, 泉質変化が生じている温泉井戸もあります.したがって,ご質問に正確にお答えする には,該当する井戸の掘削位置,井戸構造,もし定期的に観測しているのであれば水 位や水温等のデータがあれば,より明確な回答が可能になると思います.
 更に,詳しいことをお知りになりたければ地質研の秋田(011-747-2211 ext432) まで直接問い合わせ下さい. (05/25/01)

秋田藤夫(北海道立地質研究所・ 環境地質部)


Question #1720
Q 「20日午後1時15分ごろ、警戒中の第3管区海上保安本部の航空機が八丈島の南南西約120キロの沖合で、幅約100メートル、長さ150メートルにわたって黄褐色に変色している海域を発見した」という記事を見たのですが、海底火山の活動によるものだとするとどのような反応によって着色したと思われますか?
以前、海底火山活動による変色海域が青色という写真を見たのですが、違いを教えていただけませんか。 (05/21/01)

おんでぃ:学生:22

A 同様な質問に対する回答が,過去のQ&A,No.717,No.740にありますのでご覧下さい.

海底噴火に関しては, 「日本近海における海底火山の噴火」小坂丈予著,東海大学出版会 (ISBN4-486-01145-7) という本があり大変参考になります. (05/22/01)

大場 武(東京工業大学・火山流体研究センター)


Question #1713
Q 鹿児島に友人が住んでいるのでちょっと気になりました。
1)例えば桜島の火山が噴火した場合、近くにある他の火山がその影響を受けて噴火してしまう、ということはあり得るのでしょうか?
2)火山噴火によって、それ以外の災害・地震や水害、天候の激しい変化、爆風による何らかの災害、なんていうのが同時に起こることはあるのですか?
3)2万年位昔に鹿児島の火山が噴火した時の火山灰の地層が東北の方にもあるって聞いたことがあるのですが、今後もそんなに大きな噴火が起こることは考えられるのですか?
4)大きな噴火が起こってしまった場合、やはり逃げるしかないのでしょうか?噴火に関する情報に敏感であること以外に火山の災害に備えることはないのですか? (05/16/01)

タコ社長:フリーター:26

A 1)「隣の火山が噴火した影響を受けて・・・」というのは,直感的にはありそうな 感じがしますが,こういったことは検証するのがとても難しく,明快な科学的結論は 得られていないというのが現状だと思います.「他の火山が噴火する」というのと同 様に「他の火山が静かになる」ということも考えられますよね.大正3年(1914年) に起こった桜島大正噴火(20世紀に日本で起こった最大の噴火)の前は,桜島の北約 50kmに位置する霧島の御鉢火山が活発に活動していましたが,桜島大正噴火以降は御 鉢の活動が静かになったという事実があります.これを「桜島火山の噴火の影響を受 けて・・・」と考える研究者もいますが,私自信は「よくわからない」というのが本 音です.あなたならこのことをどのように考えますか?

2)ちょっと質問の意味がわからないのですが,二次的な災害のことでしょうか?噴 火に伴って大きな地震が起きる例はいくつも知られており,桜島大正噴火の時には, 噴火開始から8時間30分後にM7.1の地震が発生し,噴火による直接の被害がなかった 鹿児島市に大きな災害をもたらしたことは有名です.水害(あるいは土石流)につい ては,火山から遠く離れた地域(噴火の直接的な被害を受けなかった)がやられてし まったという例が世界的にたくさんあります.また,「大規模な噴火は世界的な気候 の変化をもたらす」という研究もあります.桜島では最近の比較的規模の小さな噴火 でも爆発の衝撃波によって窓ガラスが割れたりしています.桜島に限らず,大きな噴 火の際には,これらの災害が複合して同時に起こる可能性があります.

3)約2.5万年前に鹿児島湾の最奥部の姶良カルデラで大きな噴火がありました(先に あげた桜島大正噴火の数100倍大きい).南九州でシラス台地として知られる火砕流 堆積物の大部分は,このときの噴火によって噴出したもので,その時の火山灰は,ほ ぼ日本全土で見ることができます.この噴火では,南九州の動植物が全滅しただけで なく,日本全体に厚い火山灰が降り積もって,日本中が死の世界のようになったと思 われます.今,同じ規模の噴火が起こると日本という国家は壊滅してしまうかも知れ ませんね.このような大規模噴火は,姶良カルデラだけでなく,九州の阿蘇や北海道 の支笏・洞爺などのカルデラ火山で発生しています.日本では,過去50万年くらいの 間に,平均すると数万年に1回くらいの割合で起こっていますから,今後もこういっ た規模の噴火が起こることは間違いないと思われます.

4)先の姶良カルデラの噴火くらいになると,日本にいたら逃げていることにはなら ないかも知れませんね.噴火の規模の大小に関わらず,噴火災害に備えるためには, 噴火の情報に敏感であることだけでなく,火山噴火に対する正しい知識を持っている ことが大切だと思います.火山学会のホームページをうまく活用して,火山に関する いろいろな知識を身につけて下さい. (05/24/01)

井村隆介(鹿児島大学・理学部・地球環境科学科)


Question #1658
Q はじめまして。妙高山について知りたいのですが、地形図閲覧システムというサイトでその山の地形を見て次のような質問をしたいと思いました。それは、北地獄谷と南地獄谷あるいは山頂西側の馬蹄形の爆裂火口のような窪地は、本当に火口跡なのでしょうか? (04/13/01)

タルビン・シン:大学生:19

A ご質問の「馬蹄形の窪地」というのは、具体的にどの場所を指しておられるのでしょ う。南地獄谷、北地獄谷、山頂西側の個々の窪地を指しておられるのでしょうか、そ れとも前山-赤倉山-三田原山-大倉山-神奈山を結んだ1つの大きな馬蹄形の凹地をさ しておられるのでしょうか。

もし、前者だとしたら、北地獄谷の谷頭部、中央火口丘山頂の東側にある半円形の凹 地は、その形状から、爆裂火口の跡と考えています(対応する噴出物は特定されてい ません)。南地獄谷の谷頭部、前山と赤倉山に挟まれた馬蹄形の窪地は、崩壊跡で、 対応する堆積物が確認されています(崩壊に噴火が関与したかどうかは不明です)。 山頂西側の馬蹄形の窪地が、もし大正池を含む凹地を指すなら、これは爆裂火口跡で す。大正池を囲む土手状の高まりを作っている堆積物が、その時の噴出物です。

後者の赤倉山・三田原山などの外輪山に囲まれた1つの大きな馬蹄状の凹地は、山頂 部の巨大な崩壊によって形成された崩壊跡で、その時の崩壊物である岩屑なだれの堆 積物は、東山麓に広く分布しています。崩壊に噴火が関与していたかどうかは、はっ きりしませんが、凹地の出口が狭いことなどの形状から判断して、単純な崩壊ではな く、噴火が関与していた可能性が大きいと考えています。野尻湖底では、ほぼ同時期 と考えられる火山灰も確認されています。 (04/16/01)

早津賢二


Question #1657
Q 東伊豆の一碧湖のことでお伺いいたします。これまで見た多くの本では、一碧湖は
火口湖、またはマールとして紹介されていますが、地元の方にお話を伺ったとき、
あれは間違いで本当はせき止め湖だというような意見を聞きました。
どちらが本当なのでしょうか。個人的には、奥の池の形状や、水深の浅さを
考えると火口湖には思えないのですが。 (04/12/01)

上田泰久:自営業:42

A
 はい,たしかにかつて一碧湖はせき止め湖と考えられていた時代がありました.な ぜそう考えられたかというと,およそ4000年前(注)に大室山から噴出した溶岩流の 一部が一碧湖の西の縁に接していることから,せき止め湖と判断されたのです.
 しかし,一碧湖の周囲を詳しく調べた結果,火口のすぐ近くでしか見られないよう な粗くて火山弾を多く含む堆積物が厚く分布していることがわかりました.この堆積 物の分布や重なり方を詳しく調査した結果,一碧湖はおよそ10万年前に起きた激しい 水蒸気マグマ爆発によってできた火口(マール)であることがわかりました.さら に,この噴火によってできた火口は一碧湖だけでなく,北西―南東方向に配列した全 部で5つの火口列(門野,荻,一碧湖,東大池,梅木平)の同時噴火であったことも わかりました.
 その噴火から9万年以上も過ぎた頃に,一碧湖の南方で大室山が噴火し,流れてき た溶岩の一部がたまたま一碧湖の西端をかすめたのです.ボーリング調査の資料から も,一碧湖が大室山が噴火するずっと以前から湖あるいは湿地帯であったことが証明 されています. (注)かつて5000年前と考えられていましたが,その後データが増え,4000年前頃と 考えるほうがもっともらしくなりました. (04/13/01)

小山真人(静岡大学・教育学部・総合科学教室)


Question #1653
Q 始めまして。
(色々調べたのですがわからなかったもので教えて頂きたく投稿しました。)
火山灰の粒子ですが最小でどの程度の大きさになるのでしょうか?
(具体的には桜島鹿児島市内で粒子最小どの程度になるのかになります
又、桜島でどの時期どの程度の降灰があるかが紹介してあるHP又は
文献がわかりましたら教えて頂きたいのですが。
お手数ですがよろしくお願い致します。

(04/09/01)

調査員:会社員:31

A うーん.難しい質問ですね.私の不勉強かも知れませんが,具体的に「火山灰には, どのくらい小さいものまであるのか?」といった研究を私は知りません.一般には 2mmより小さい火砕物の総称として「火山灰」という言葉が用いられています.環境 科学的には,粒径10マイクロ・メートル以下の粒子を浮遊粒子状物質(SPM)と呼 び,環境基準が設定されています.10マイクロ・メートル以下の火山灰粒子もSPMの 一つです.鹿児島市に降る火山灰で,50マイクロ・メートルより小さい粒子のうちの 約20%が10マイクロ・メートル以下の粒子であるという報告(大庭ほか,1980:鹿大 紀要)があります(火山灰全体の約20%でないことに注意!). 桜島の降灰状況については,鹿児島県から毎年発行されている,「災害の記録」とい う冊子を参考にされるとよいと思います. (04/17/01)

井村隆介(鹿児島大学・理学部・地球環境科学科)


Question #1652
Q 溶岩と火山岩の違いを教えて下さい (04/09/01)

少年H:公務員:30

A No. 1565の回答を参考にして下さい。 (4/09/01)

ホームページ管理者


Previous 10-QAs Next 10-QAs