火山についてのQ&A集

Question #2640
Q 先日立山に行ってきたのですが、北アルプスには火山がおおいのですね、私は3000m級の山は断層などが原因で高くなったと思っていたのですがそれは間違いで火山の噴火のせいで高くなっていたのでしょうか。北アルプスが3000m級に成長したのはどちらが原因なのでしょうか、教えていただけますか。また火山が好きになり次は乗鞍岳に登る予定なのですが、地質とか岩石など見所があれば教えてください。 (09/11/02)

悩める主婦:主婦:40

A
 北アルプス上の山々は、火山ではない山がほとんどです。北アルプスが現在のよう に隆起した主な原因は、火山とは直接の関係がありません。しかし、中央アルプスや 南アルプスのように、明瞭に断層運動によって高くなった山脈とは少し違うようで す。北アルプスの隆起は長くてもここ300万年以内に起こったと考えられています。 いくつかの説がありますが一つの説として、地下に花崗岩マグマが上昇してきてそれ が原因で北アルプスが隆起したと考えられています。ですが、これらのマグマと北ア ルプス上の現在の火山とは直接の関係はないでしょう。もちろん火山の噴火で火山は 高くなりますが、北アルプス上の火山についてみれば、それほど噴出物は厚くなく、 たかだか数百メートルです。つまり、火山を取り去っても、もともと高い山があるの です。 乗鞍岳については、以下のページをご覧ください。乗鞍岳がいつ、どのようにできた かを解説しています。http://staff.aist.go.jp/nakano.shun/Jap/Norikura/
 (09/12/02)

中野 俊(産業技術総合研究所・地球科学情報研究部門・ 火山複合システム研究グ ループ)


Question #2639
Q 富士山のマグマ溜まりについて質問します。
以前、富士山で低周波地震が多発したとき、富士山のマグマ溜まりは低周波地震が発生している地下10〜20キロメートルより、さらに下の地下25キロメートル付近にあると聞き大変驚きました。なぜなら日本の他の主な火山のマグマ溜まりの位置は浅いもので地下数キロメートル、深いもので地下10キロメートル前後と思っていたからです。
そこで質問なのですが、実際に富士山のマグマ溜まりは日本の他の火山のマグマ溜まりに比べて深いのでしょうか?また、もしそうならどうしてでしょうか? (09/11/02)

しろしろ:フリーター:24歳

A
 富士山のマグマ溜まりについてお答えする前に、マグマ溜まりがどうしてできるか を考えてみます。
 火山の下にマグマが貯蔵されているマグマ溜まりのあることは確かだと考えられて います。日本のような島弧の火山では、海洋プレートの沈み込みによって、100kmか ら150kmの深さでマグマが作られます。このマグマはまわりの岩石より軽いので上昇 しはじめますが、まわりの岩石の密度は浅くなるにつれて小さく(軽く)なるのでだ んだん密度の差がなくなってきます。このため、マグマはついには上昇し続けること ができず、一旦、上昇を止めて集まります。この場所にマグマの溜まりができます。 ここでマグマのなかの比較的重い成分が結晶となって取り除かれ、液体のマグマは軽 くなり、再び上昇をはじめます。マグマが地表に達して噴火するまでには、何回も一 時停止しては軽くなるはずなので、マグマの溜まりは1カ所ではなく、何カ所にもで きると考えられています。
 地中を目で見ることができないので、マグマ溜まりの探すのは簡単ではありませ ん。火山学者は火山の下を調べる方法として、地震波の伝わる速度や吸収のされ方に 注目しています。マグマがたくさん溜まっているところでは、地震波の伝わる速度が 小さくなったり、地震波のエネルギーがたくさん吸収されてしまうので、地震波の伝 わる様子を詳細に調べればマグマ溜まりのありそうな場所の見当をつけることができ そうだからです。
 1990年ころに行われた研究では、富士山の下、深さ25kmくらいの深さに地震波が周 辺よりゆっくり伝わる領域が見つかりました。この地震波速度の小さい領域がマグマ の溜まりの可能性があります。それよりも浅いところにマグマ溜まりがあるかどうか は、富士山の山体に地震観測点がまだまだ少なく、はっきりしたことがわかりませ ん。現在、富士山の観測点が強化されていますので、富士山直下の浅い場所の様子も 分かってくることが期待できます。
 他の火山のマグマ溜まりも、まだ、その大きさや深さがはっきりわかっている例は ほとんどなく、マグマ溜まりの姿を明らかにすることは、21世紀の火山研究の重要 な課題になっています。
 (09/16/02)

鵜川元雄(防災科学技術研究所・固体地球研究部門) --


Question #2633
Q 最近、火山活動に興味を持つようになったのですが、元々は海の生き物が非常に好きな人間です。ところで、伊豆半島はフィリピン海プレートの移動にともなって南海から北上してきたtぽいう事ですが、それによって海の生き物の進化に異変をもたらしたという事はあるのでしょうか?伊豆以外の棲息地では見られない豊富なカラーバリエーションを持つ魚類がけっこういるようです(トウシマコケギンポ、イザリウオ、等)。それと、火山活動がもたらす海への恵み、(メリット)といったら、何があげられるでしょうか?

(09/11/02)

コケギンポ:サービス業:33

A Q1.プレートの移動と海の生物進化

A1.プレートの移動にかかる時間と、海の生き物が生きる時間とはスケールが大きく 違います。プレートの移動との関連を見ようとするならば、現在の生き物ではなく化 石を対象とすることになります。実際、伊豆半島の衝突に関連して有孔虫という微生 物の化石を対象として時間的変遷を研究した例があります。

Q2.伊豆半島特有の魚類

A2.火山の活動が現在の生物に影響を及ぼすことはあると思われます。温度や噴出ガ スの成分、地形などにより、それぞれに適応した生物が繁殖することはあるでしょ う。ただし、伊豆地方の魚類の豊富なカラーバリエーションが、火山活動の影響によ るものかどうかはわかりません。

Q3.火山活動がもたらす海への恵み

A3.火山活動の現象を考えてみましょう。熱いマグマが上昇してくることにより、熱 水が形成され温泉がでたりします。温泉に含まれる成分が海水に取り込まれます。火 山の周辺は地形が上昇しますので、浅瀬ができて生物がすみやすい環境ができる可能 性があります。逆に、噴火があるとそれまでの環境が破壊されて、それまでの環境に 適応していた生物がすめなくなる可能性もあります。メリット、デメリット、両方あ るようです。
 (09/11/02)

平田大二(神奈川県立生命の星・地球博物館) --


Question #2580
Q 火山のない埼玉で生まれ火山に憧れそして栃木に住み着いてから8年になります。日光、那須、高原と火山と温泉に恵まれていますが栃木の二つの活火山について質問があります。
@那須茶臼岳について
昭和28年頃最後の小噴火があったと聞きますがどの程度のものだったのでしょうか。現在山頂部は観光客でごった返してますが現在もし同程度の噴火があるとしたら事前予知はどの程度可能なのですか(水蒸気爆発は予測しにくいと言われるので少し不安です)。
A日光白根山について
最近まで前白根や五色山が外輪山で奥白根がカルデラの淵に出来た中央火口丘だと勘違いしてましたが両者は形成された時期が全く異なるそうですね。しかし現場にいってみるといかにも前白根、五色山の稜線は外輪山で五色沼は火口原湖に見えます。奥白根との関係はないとしてもこの『外輪山もどき』が古い時代の小カルデラのなごりという事はないのでしょうか。
以上2点、よろしくお願いします。 (09/03/02)

アマンタジン:医師:27

A
 那須茶臼岳の最近の噴火としては,明治14年(1881年)の噴火が最大規模のもので す.現在の山頂の西側直下にある無間火口から生じた水蒸気爆発で,茶臼岳周辺には 30cm余りの厚さで火山灰が降り積もり,噴石も飛来しました.茶臼岳周辺は一面灰色 の世界となり,多くの立木が枯れました.降灰は東方の白河市付近でもみられ,那珂 川では沢山の魚に被害があったということです.この規模の噴火が起きれば,ロープ ウェイ山麓駅あたりまで,降灰や噴石で大きな被害を被り,観光客への人的災害もか なりのものになると予想されます.昭和28年(1953年)の噴火では,やはり無間火口 で水蒸気爆発噴火があり,南方6kmまで降灰がみられました.この規模の噴火では, 噴石も山頂火口周辺には飛来したでしょうから,ロープウェイ山頂駅から上に観光客 がいれば,大きな人的災害をもたらすものと思われます.水蒸気爆発の予測は確かに 難しいところがありますが,噴気や火山ガス,火山性地震などのモニターをきちんと やっていれば,ある程度の予測はできるのではないでしょうか.那須火山の観測体制 はこれまで必ずしも十分とはいえませんでしたが,最近になってかなり整備されつつ あります.
 前白根や五色山の稜線は新第三紀の古い火山岩類から構成されており,第四紀の火 山ではありません.これらの稜線が作る馬蹄型の地形はこの付近の山地によくみられ る浸食地形であってカルデラではありません.
 (09/04/02)

高橋正樹(日本大学・文理学部・地球システム科学) --


Question #2579
Q 初めて質問させていただきます。

宮城県の鳴子から古川市(東北自動車道付近まで)にかけての江合川両岸、
概ね迫川を北限、田川(鳴瀬川支流)を南限とする地域で、
水系がほぼNW-SE方向に並行する非常に特徴的な地形が見られます。
この地域の地質は主に凝灰岩類を主体としているはずですが、
この地形がどんな由来でできたものなのか、ずっと不思議に思っていました。
(地質に関しては文献等検索しましたが、地形の成因までは見つけられませんでした。)

周辺の地形を巨視的に見ると、この地形の分布地域の北西端にはいわゆる「鬼首カルデラ」が
ありますが、この鬼首カルデラから噴出物が流れ出た跡のように見えることに気が付きました。
カルデラ外輪山の標高を見ても、西半部は標高1000mクラスのピークのはっきりした山なのに
対し、東半部、つまり問題の地形に面した鳴子〜花山側では標高500〜600m程度しかなく、
地形的にも比較的なだらかで、いかにも火山噴出物が流れ出ていった跡のような地形に思われます。

これはやはり火砕流等の痕跡なのでしょうか?
問題の地形を成す凝灰岩等は、鬼首火山の火砕流堆積物と解釈していいのでしょうか。
鬼首カルデラの活動史も含め、周辺地形との関連を教えていただければ幸いです。
よろしくお願いします。

(09/02/02)

Takahashi:会社員(土木関係・地質調査):32

A
 地質関連のお仕事をされておられるようですので、かなり専門的な知識をお持ちの ようですね。
 さて、まずこの地域の地質についてですが、お考えのとおり主に鬼首カルデラ由来 の火砕流堆積物から成っています。また、鬼首カルデラの南には、より新しいけれど 地形があまり明瞭ではない鳴子カルデラがあり、そこからの火砕流堆積物も鳴子−古 川間に堆積しています。
 火砕流は一般に高い場所から低い場所へ流れ下ります。そのため、もともと標高の 高い場所にはあまり流れず、低い場所へ流れ下ります。このあたりの地質・地形を見 てみると、鬼首カルデラの北〜西側、および鳴子カルデラの南側には古い地層がかな り高い標高まで分布し、山地を形成しています。一方、南東側の江合川あたりは、も ともと標高が低かった場所です。そのために火砕流は選択的に南東側に流れ、堆積し たようです。北東側や南西側にも一部流下し、堆積しています。なぜ南東側が低地で あったのかについては、はっきりとしたお答えはできないのですが、(1)北西〜南 東方向に伸びる構造線(仙台−鳥海山構造線、本荘−松島構造線)の構造運動の影 響、(2)古い時代のカルデラ(花山カルデラ)の影響などが考えられます。
 さて、カルデラから噴出した大規模な火砕流が堆積した場所には、広大な台地(火 砕流台地)が形成されます。鬼首・鳴子カルデラからの火砕流が堆積した直後には、 鳴子−古川間には広大な火砕流台地が形成されていたと考えられます。その火砕流台 地の名残が、鳴子町上原や同町向山などの丘陵地上に見られる平坦面です。このよう な火砕流台地は一般にカルデラ側から遠方に向かい緩い傾斜を持ちますので、鳴子− 古川間の火砕流台地は北西から南東に向かって緩く傾斜していたはずです。
 ご質問の中で、特徴的な水系について触れられていましたね。水は高いところから 低いところへ流れ下りますので、火砕流台地の傾斜方向と平行に川の流れができま す。そのため、しばしば火砕流台地の傾斜と平行に浸食谷が発達します。このように ご指摘のNW-SE方向に水系が平行する地形が形成されたと考えられます。同様な地形 は、北海道支笏湖の東側の火砕流台地でもみることができます。
 (09/11/02)

大場 司(東北大学・理学部・地球物質科学科) --


Question #2566
Q 再度,質問させて頂きます。
岐阜県と長野県境に位置する北アルプス・焼岳の天正年間における噴火活動につきまして,
お教え下さい。
史料又は伝聞では天正12年か13年に焼岳が噴火した,と言われているようですが,天正地
震で山腹崩壊が発生して泥流等が流下したとの記述もみたことがあります。現在の見解で
は実際に噴火は起こったのでしょうか,それとも地震による崩壊なのでしょうか。
よろしくお願いいたします。

(08/31/02)

悠々火山:会社員:45

A 焼岳の天正噴火の記録は,明治末の論文(加藤,1912)に記録されたのが最初です. これには,噴火と崩壊により山麓の中尾平が形成されたとの言い伝えが記されていま す.

その他の文献では,中尾峠が崩れたなどの記録も見られますがどうやら加藤(1912) のうつし間違いのようです.

この天正噴火の記録は,文書記録などは無く山麓の中尾集落での言い伝えで伝説めい ています.そのため歴史資料としては信憑性に欠け,噴火記録としては問題がありま す.また,中尾平を形成している地層は2300年前の中尾火砕流ですので言い伝えと地 質情報が一致しません.

しかし,焼岳山体極近傍には西暦1200〜1700年代の年代を示す水蒸気噴火の火山灰が 数多く見られます.そのため,西暦1200〜1700年代に水蒸気噴火が頻発した事は確か です.

ただし,それらの火山灰が天正12ないし13年(1584ないし1585年)の記録に相当する かはわかりません.

おそらく,焼岳の天正噴火の言い伝えは,飛騨地方を襲った天正地震の災害と, 1200〜1700年代の噴火がごっちゃになって言い伝えられたものでしょう.
 (09/05/02)

及川 輝樹(信州大学・工学系大学院) --


Question #2561
Q ホット・スポットについて質問したいのですが、
@、ハワイホット・スポットから西に続く海山列を見ると、何千年(もしかして何億年?)も前から火山活動が続いているようですが、ハワイのようなホット・スポットは一体いつ、どのようにして誕生したのでしょうか?
A、インドのデカン高原はインドのはるか南方沖にある、レユニオンホット・スポット(レユニオン島)の活動により形成されたそうですが、他のホット・スポットでも(例えばハワイホット・スポット等でも)デカン高原のような大規模な溶岩台地が形成されたことはあるのでしょうか?
B、ハワイなどのホット・スポットの寿命はどのくらいあるのでしょうか?例えばレユニオンホット・スポットの活動を見るとデカン高原を形成したころに比べればだいぶ弱まっているような気がしますが、このまま下火になりやがて消滅してしまうことはないのでしょうか?
以上、3つの質問ですが、よろしくお願いします。
PS、以前の私の質問に答えて下さった先生方、本当にありがとうございました。 (08/29/02)

しろしろ:フリーター:24歳

A

ハワイから西に続く海山列はおよそ7000万年前までさかのぼれます.それより古い部 分はアリューシャン海溝に沈んでしまっているため,ハワイホットスポットは少なく とも7千万年間は活動しているとしかお答えできません.

海嶺での涌き出しと海溝での沈み込みといったプレート運動のような対流によっては 放出しきれない地球内部のエネルギーを逃がすしくみの一つが,プルームと呼ばれる 円柱状の上昇流です.このプルームが地表の火成活動を引き起こしているところをホ ットスポットと呼びます. プルームがどこから来るのかは,現在でも活発な論争になっている問題ですが,マン トル深部の熱境界層に由来するという考えが一般的です.具体的には,深さ660kmあ たりの上部マントルと下部マントルの境めや,深さ2900kmあたりの下部マントルと外 核の境めあたりです.このあたりにたまった熱が通常のマントル対流や熱伝導では解 消しきれなくなると,この部分の物質が熱膨張による十分に大きな浮力を得て上昇を 開始します.これがプルームの誕生です.

プルーム成長についての室内実験や数値実験の結果から,プルームはマントル内部を 上昇していくにつてれ,大きな頭とそれに続く細い軸からなる形になってゆくと考え られています.よくマッシュルーム状などと形容されますが,キノコを縦割りにした ときの大きなカサの部分と細い軸の部分を想像してみてください. このカサ部分が地球表層に到達すると,例えばデカン高原などに見られるような大規 模な火成活動が引き起こされますが,この継続時間はせいぜい数百万年と考えられて います.それ以降の弱いながらも継続的な火成活動は,プルームの細い軸の部分が地 球表層に到達することによってもたらされたものと考えられています.例えば,イン ド洋のマスカレン海台からレユニオン島に続く火山列の形成がこれにあたります.

現在知られている幾つかのホットスポットにおいて,活動の開始点に溶岩台地などの 大規模な火成活動の痕跡の存在が確認されています.代表的なものとしては,北海沿 岸とグリーンランドに広がる火成活動域は現在のアイスランドホットスポットが活動 を開始した時に作られたものですし,南米のパラナ洪水玄武岩台地は南大西洋のトリ スタン・ダ・クーニャホットスポットの活動開始点です.ただし,ホットスポットの 過去の活動痕跡を遡ることは容易なことではありません.プレートの運動方向や速度 についての情報や火成活動の年代がわからなければならないからです.したがって, 現在知られているすべてのホットスポットについて,活動開始の時期や場所が特定で きているわけではありません.

ホットスポットの寿命(=プルームの寿命)が何で決まるかついては,まだ明解な答 えは得られていません.一億年を越えて活動を続けているプルームもあれば(例えば インド洋のケルゲレンホットスポットや南大西洋のトリスタン・ダ・クーニャホット スポット),一千万年以下で活動を終えてしまったもの(例えばシベリアントラップ )もあります.レユニオンホットスポットは活動開始から6500万年になります.プル ームの発生源の位置,そこからの熱や物質の供給に関する差が,このような寿命の違 いになってあらわれているものと思われます.このことをはっきりさせるためには, 様々なホットスポットについて比較研究を行い,プルームの発生源の違いをより詳し く調べてゆく必要があります. (09/03/02)

安田 敦(東京大学・地震研究所・地球ダイナミクス)


Question #2557
Q こんばんは。
伊豆諸島には非常にたくさんカルデラ(伊豆大島、三宅島、明神礁、青ヶ島等)があるようですが、その中に、九州や北海道のカルデラのように
大規模な火砕流の発生にともなってできたカルデラはあるのでしょうか? (08/29/02)

てんてけてん:会社員:24

A 伊豆孤の火山フロント沿いには,火山島上,海底におっしゃるようにたくさんカルデ ラがあります.産総研村上さん(村上,1997)では,大島から鳥島までの間に12個のカ ルデラがリストアップされています.このうち5つが火山島に,残りは海底カルデラ です.

これらのカルデラのうち,伊豆大島や三宅島など玄武岩質マグマを主に噴出する火山 のカルデラには,大規模な火砕流を発生して形成されたものはありません.いずれも 山頂部で大規模なマグマ水蒸気爆発を起こし,山頂部が陥没または崩壊することでカ ルデラが形成されたと考えられています.2000年の三宅島の噴火でできたカルデラ, 1924年のハワイ・キラウエア火山のハレマウマウ火口の陥没事件などからも,地下で のマグマの移動が原因となって山頂部が陥没,爆発的な噴火を伴ってできたのでしょ う. 一方,八丈島東山では,デイサイト質マグマの噴火活動がたびたび起きています.特 に2万5000年前に火砕流(軽石流)を噴出するやや規模の大きな噴火が起き,山頂部に カルデラができたと考えられています.火砕流の体積は侵食分を考慮すると数立方 km程度で,九州や北海道のカルデラ形成にかかわる火砕流よりは小さなものです.

海底カルデラについては,潜水調査などによると,少なくとも明神礁の北にある明神 カルデラは,流紋岩質軽石が大量に堆積していることがわかっています.もしこれが 陸上で噴火していれば火砕流を発生させていた可能性があります.ただし海底にある ことから十分な研究が行われているとは言えず,どのような機構でカルデラ地形がで きたのかなど,詳しいことはまだ十分にわかっていません.

ということで,八丈島東山は火砕流が発生してカルデラができたことがある.他の火 山島のカルデラはそうではない.海底カルデラはまだよくわかっていないが,流紋岩 質マグマの爆発的な噴火活動でできたカルデラがある,といったところでしょうか.
 (08/30/02)

川邉禎久(産業技術総合研究所・地球科学情報部門) --


Question #2547
Q 質問は二つあります。1.世界の代表的な『噴火で広範囲まで被害がとんだ』という、活火山を五つあげるとしたら何ですか?2.素人でもできる、噴火の被害をできるだけ小さくする方法は何ですか? (08/27/02)

理科の自由研究です:中2:14

A
 宿題をとくヒントは出してあげますが答えは自分で探してください。
 左欄で「火山災害」あるいは「災害」で検索するといろいろでてきます。それらを 読んで火山を5つ探してみてはどうですか?
 上の災害例を読んでから、噴火になったら火山の周辺でどのような災害がおこりや すいか考えてみましょう。そうなると、次に何が困るか考えてみましょう。さらにそ れを防ぐためにはどうしたらよいか、災害で困った人を助けるためにはどうしたらよ いかなどと考えてみませんか。火事や地震のように身近に起こる可能性のあるものと 比較して考えてみるのも手です。
 噴火が起こったらどう大変になるかきちんと考えてみること自身が、あなたにでも できる火山災害を小さくすることの一つにつながるでしょう。
 (08/27/02)

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Question #2541
Q カムチャッカ火山群の周りの温泉の事を、教えて下さい。もしよければ写真も載せて下さい。なるべく今日中に。 (08/26/02)

ヨッシー:中学生:12

A **夏休みの宿題をこのQ&Aコーナーにたずねる皆さんへ***


 主に小中学生の皆さん。夏休みも後1週間となってこのコーナーにたくさん質問を していただけるのは良いのですが、できるだけ自分で調べてみてからにしませんか? このページの検索(けんさく)機能のほか、一般の検索ホームページ(例えば、 http://www.google.co.jpやhttp://www.yahoo.co.jpなど)でもちょっと探せば分か ることがずいぶんあります。
 例えば、このヨッシー君の質問は「カムチャツカ」「温泉」の2語を入力すれば 200個以上も情報がかかります。写真も勿論あります。がんばって探してみてくださ い。
 ここにいただく質問の中には、あまりに質問が簡単すぎたり、突拍子もなくて何を 答えてよいかわからない場合や、逆に、とても難しくてすぐには回答できないものも たくさんあります。質問はそのことをよく研究している人に回しているので、回答し ていただくまでに時間がかかります。その方が忙しくて返事がいただけないこともし ばしばあります。質問したら必ず回答があるということではありませんので、注意し てください。
 (08/26/02)

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