火山についてのQ&A集 | |
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Question #5176 | |
Q |
私達は、前から火山のことを調べたくて....学校で「火山について」取り組みました。 質問なんですが....、火山で出来た土地の変化と山の変化、又 火山の噴火はどうやって 起きるのか?を教えてください。 (11/11/03) RUI&:: |
A |
いただいた2つの質問は今年になって中学生からいただく質問のベスト2です。おそらく「噴火による地形の変化」と「噴火はどうしておこるのか」につい てインターネットで調べてみようという授業があるのだと思います。同じ質問があまりに多いのでいちいち答えられません。まずは「小中学生から多い質問」 か「QAの検索」に調べたいキーワードを入れて調べてみて下さい。それでもっと知りたくなったら何を知りたいかをもっと具体的に書いて質問して下さい。 最初の質問はやや調べにくいかもしれません。簡単にいうと、火山は噴火によって作られた「山」です。もう少し詳しく言うと、火山は成長と崩壊(ほうか い)をくり返しています。マグマが火口から噴出することによって溶岩や火山灰がうず高くつもって山が大きくなる場合と、噴火に伴って火口周辺の地形が地 下に陥没(かんぼつ)したりくずれてなくなる場合とがあります。後者はカルデラや巨大じすべり(山体崩壊:さんたいほうかい)があります。火山は大きく なると必ずくずれるという運命があります。火山の地形にはいろいろあります。これは調べてみて下さい。 噴火はどうして起こるのかも簡単にいうと、地下にあるマグマの中の火山ガスの圧力が高まって、マグマごと地上に向かって移動し、浅いところまできたと きに、圧力が急に解放されて膨張(ぼうちょう)し爆発するためです。コーラの缶を良くふった後にプルトップをぬくのと似ています。マグマ自身の圧力でな くても地下水がマグマによって加熱されて水蒸気となり膨張して爆発することもあります。後者は水蒸気爆発とよばれます。 (11/23/03) 中田節也(東京大学・地震研究所・火山センター)
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Question #5142 | |
Q |
はじめまして。学校の授業で調べているのですが、火山の噴火活動は大体、どのような理由で、噴火するのですか?又、日本には、今現在、幾つほど、活火山はあるのですか? 幼稚な質問ですみませんが、お願いします。 (11/06/03) kikka***:学生:13 |
A |
4142の回答をご覧下さい。
左の検索機能や小中学生から多い質問を調べてから質問して下さいね。
管理人
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Question #4187 | |
Q |
来年センター試験の地学を受ける者です。岩床、岩脈、溶岩、バソリスが、火山岩だという参考書もあるし深成岩だという参考書もあります。それぞれどちらなのでしょうか?教えてください
(08/27/03)
ぐり:学生:18 |
A |
岩床、岩脈、バソリスは形状で呼ばれるものですが、溶岩は違います。溶岩は地表や地表付近にあるマグマのことで、溶けた状態のものも固まった状態のも のも「溶岩」と呼びます。 火成岩としての岩床と岩脈も地下に貫入したマグマ(溶岩)が固まったものです。バソリスとは、地下深部(深さ3キロ以下程度)で固まった巨大なマグマ の塊まりであったものが、現在は地上に露出しているものをいいます。一般に分布の面積が百平方キロ以上のものを指します。 深成岩と火山岩はそれぞれ地下深部と地上で固まったマグマを指します。火山岩の場合はそれから飛散したり、再移動したものも含みます。火山岩と深成岩 の中間的な性質をもつものを半深成岩と呼びます。つまり地上と地下深部(3キロ程度)との間で固まったものです。深成岩、半深成岩、火山岩は、もともと は、地上に露出する岩石について、ガラスの有無や結晶の大きさ、そろい方などから、形成された場所を想定してそう呼ばれたものです。 厳密には、岩床や岩脈は半深成岩で、バソリスは深成岩ということになります。また、溶岩は火山岩のこともありますし、半深成岩のこともあることになり ます。しかし、しばしば、火山の根っこにあたる岩脈や岩床のことも広く火山岩類としてひとまとめにしていうこともありますので、岩脈や岩床を火山岩とす ると間違いかと言うと必ずしもそうではありません。 結論は深成岩のバソリスを除いて、半深成岩か火山岩ということになります。 センター試験では曖昧なことは出題されないと思いますので、典型的なもの以外は覚えなくてよいでしょう。 (08/29/03) 中田節也(東京大学・地震研究所・火山センター)
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Question #4179 | |
Q |
学校の先生に富士山は玄武岩質だと聞いたんですがでは何故富士山は楯状火山ではなく、形の綺麗な成層火山になったのですか??先生も分からなかったので教えてください。富士山の岩はどちらかというと玄武岩というよりは安山岩に近いのかな??という意見も出たのですがこれは正しいのでしょうか??
(08/24/03)
中本 伸志:高校生:16 |
A |
一口に玄武岩と言っても,その粘性(ねばりけ)には幅があります.富士山は,たとえば1万年前ころのように,粘性が小さいために薄く広くひろがる溶岩
(パホイホイ溶岩と呼ばれるハワイでよく見られるタイプの溶岩)を大量に流出した時期もありましたが,その後はやや粘性を増したアア溶岩というタイプの
溶岩を多く噴出するようになりました.アア溶岩はパホイホイ溶岩に比べて厚く,火口からさほど遠方まで流れないため,火口付近を高くして山を成長させま
す.富士山の西側に切れ込む大沢崩れの断面を観察すると何十枚ものアア溶岩が積み重なっており,富士山が溶岩を流出しながら高度を増していった様子がよ
くわかります.パホイホイ溶岩やアア溶岩の写真や詳しい説明については,たとえば
http://www.edu.gunma-u.ac.jp/~hayakawa/fieldguide/book/073.html http://www.edu.gunma-u.ac.jp/~hayakawa/fieldguide/book/072.html
をごらんください.ネット検索すれば他にも色々なページが見つかると思います.
小山真人(静岡大学・教育学部・総合科学教室)
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Question #4176 | |
Q |
私は科学部に入っているのですが夏休みの合宿で火山について勉強して疑問が出たので質問します。 (1)火山噴火の際のエネルギー量はどの位ですか? (2)石固まった時の温度が高いと玄武岩に、低いと流紋岩になるのは何故ですか?また、マグマの温度と鉱物にはどの様な関係があるのでしょうか? (08/23/03) 中本伸志:高校生:16 |
A |
火山噴火において考慮すべきエネルギーは,マグマの持つ熱エネルギーと爆発の際 の運動エネルギーです。
安田 敦(東京大学・地震研究所・地球ダイナミクス)) |
Question #4142 | |
Q |
こんにちわ!いきなりですがご質問します。いったい、世界にはいくつの火山があるのですか?そのうち日本にはいくつの火山があるのですか?あと、火山の種類について教えて下さい。 (08/15/03) プリクラ大好き!!:中学生:134-0088 |
A |
ここでは最近1万年間に噴火したことのある火山「活火山」についてお答えします。 「陸上(近海を含む)」の活火山は世界では恐らく1500個を越えると考えられ ています。日本にはその内108個あります。しかし、海の底には数え切れないほど (恐らく万の単位)の活火山が存在します。地球の表面に噴出するマグマの3/4近 くが海の底(主に中央海嶺)で噴出しているからです。 火山の種類はどのような基準を使うかによっていくつかあります。例えば、主に形 から言う場合は、複合火山、成層火山(複成火山)、カルデラ火山、盾状火山などが あります。さらに、小さい火山では、溶岩ドーム(溶岩円頂丘)、火砕丘などだけか らなるものもあります。でもこれらの種類は独立のものではありません。成層火山で ありながらカルデラ火山であることや、溶岩ドームを持っているものもあります。ま た、火山噴出物が作る地形としては火砕流台地や溶岩台地などもあります。火山を成 因的に言う場合には、単成火山、複成火山という言い方もあります。 (08/16/03) 中田節也(東京大学・地震研究所・火山センター) -- |
Question #4140 | |
Q |
独立峰火山とはどんな火山のことを言うのですか?詳しく教えてください。
(08/14/03)
スヌーピー:学生:15 |
A |
「独立峰」の山が火山である場合に独立峰火山と呼ばれているようです。周囲の山か
らは分離し、独立した高まりを作っているという意味です。日本の多くの火山が独立
峰と呼ばれています。例えば、羊蹄山、鳥海山、富士山、由布岳などもそうです。独
立峰火山は成因的には必ずしも独立した火山ではなく、複数の火山が複合して成長し
た火山の場合もあります。例えば、富士山は小御岳火山の上に乗っかるようにして成
長した「独立峰」です。
(08/16/03) 中田節也(東京大学・地震研究所・火山センター) -- |
Question #4135 | |
Q |
先日初めて富士山に登ってきました。そこでいくつか浮かんだ疑問が気になって仕方ないのでよろしくお願いいたします。河口湖方面から登ったのですが、下山時、日が昇って辺りが見えるようになってくると足下の石や山の肌が赤みを帯びていていることに気がつきました。これはスコリアが酸化したものと考えてよろしいのでしょうか。また、赤みを帯びた石に混じってかなり青み(緑色)を帯びた石もありましたがどうしてあのような色をしていたのでしょうか。
(08/14/03)
若葉登山者:会社員:28 |
A |
富士山に登ったことがある人なら、このような疑問を持つ方も多いかと思います。 富士山の5合目より上の斜面には拳くらいの大きさの赤いスコリアが広く分布しています。これらのスコリアは粒子が大きいため高温状態を保ったまま地表 付近で空気と接し、中に含まれる磁鉄鉱などの鉄鉱物は酸化して赤色のヘマタイトという鉱物ができます。このような現象を「高温酸化」と言い、高温酸化し たスコリアは赤く見えます。同じくらいの大きさで黒いスコリアもありますが、これは厚いスコリア層の中心付近に堆積したもので、地表の酸素が達しなくて 高温酸化が生じなかったスコリアです。 登山道沿いに見えるスコリアの多くは富士山の山頂から約2200-2300年前に噴出したものです。ただし、富士山でも東側斜面は一面黒色をしていま す。南東側ルートの御殿場口登山道を通って下山された方はピンポン球くらいの大きさの黒いスコリアが厚く堆積していて歩き易かったと思います。このスコ リアは1707年の噴火(宝永噴火)の噴出物です。宝永噴火は大爆発だったためスコリアが粉々に砕け、温度が低下してしまったため高温酸化が生じず、黒 色スコリアが作られました。 「青み(緑色)を帯びた石」についてはどの石を指すのか判らないので正確にお答えすることができません。ただ、黒色スコリアは堆積後、内部の高温なガ スが吹き出し表面が再溶融して薄いガラスの皮が生じることがあります。太陽光がこのガラスに反射して緑がかって見える場合があります。黒色の溶岩でも同 様なことが生じるので、このようなスコリアや溶岩のかけらを御覧になったのかもしれません。 (08/23/03) 宮地直道(日本大学・文理学部・地球システム科学科)
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Question #4134 | |
Q |
静岡県富士宮市にある富士山の地震観測点はかつて水資源確保のために掘られたトンネルだそうですが、トンネル内部を見学することはできるのですか?
(08/13/03)
富士山部3年生:会社員:35 |
A |
このトンネルは,富士山南西山麓の開拓に必要な水資源の開発を目的として,富士総合開発株式会社により昭和34年から3年余を費やして掘削されました が,期待された水脈に達しませんでした.その後,火山噴火予知計画にもとづき,昭和57年度に富士山の火山活動観測を開始する際に,トンネルの一部(約 100m)が観測のために東京大学地震研究所に提供されたものです. 平成12〜13年に富士山直下の深部で低周波地震活動が活発化したため,トンネル内の観測環境を改善し,広帯域地震計や傾斜計などによる観測を強化し ました.これらの観測を高精度に行うためには,温度変化などの擾乱をできるだけ避ける必要があります.このため,現在,観測機器の保守以外ではトンネル 内にはできるだけ立ち入らないようにしております.このような事情ですので,見学はできません. (08/16/03) 渡辺秀文(東京大学・地震研究所・火山センター)
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Question #4131 | |
Q |
こんにちは、いつも丁寧な回答を有難うございます。 今回は、伊豆大島の三原神社の事で質問があります。 大島の1986年の溶岩流の被害をギリギリで避けたと聞いたので、実際に、この間研修旅行で三原神社を見てみましたが、本当に神社の建物スレスレ(20〜30cmくらい)でした。 溶岩がそれだけ近くまで来ているのになぜ建物は、燃えないのか? 熱波だけで燃えてしまうのではないかと僕は思うのですが・・・ (08/13/03) 千葉の青い篤:高校生:16 |
A |
1986年噴火のとき,三原山に登って溶岩流が前進するのを観察していたことを思い出します.溶岩流は非常に熱く,数m以内にはとてもじゃありませんが
近づけませんでした.観察中に直径20cmほどの火山弾がひとつ,頭上を越えて落下してきましたが,すでに赤熱状態ではなくなった火山弾をタオルに包ん
だところ,あっという間に燃え上がってしまいました.
さて「なぜ三原神社は燃えなかったのか」ですが,じつは三原神社はコンクリート製だったので,溶岩流がすぐ近くまで迫ったのに燃えずに済んだのです.た だこれだけでは火山学とは関係ない話で終わってしまいますから,もう少し溶岩流に飲み込まれなかった理由を説明します.
三原神社は,現在は三原山火口から流れ出した1986年A溶岩に取り囲まれています.しかし,噴火前の空中写真をよく見ると,三原神社は一つ前の噴火で
ある,1950-51年溶岩流の溶岩堤防の上に建てられていることがわかります.溶岩堤防は周りよりも数m高く,三原神社は火口茶屋よりもわずかに高い
位置にあったことになります.その分だけ溶岩流に飲み込まれる危険性は低かったのです.また三原神社は三原山のいわゆる内輪山のちょうど縁の部分にあり
ます.つまり三原神社は三原山から岬のように飛び出したような地形にありました.そのため,火口のほうから押し寄せた溶岩流は,三原神社に迫ったところ
で,両脇のより低い流路から流れ下り,三原神社を飲み込む寸前で止まったと考えられます.
川邉禎久(産業技術総合研究所・地球科学情報部門)
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