火山についてのQ&A集

Question #5359
Q 今、大学で火山について講義を受けているのですが、教科書に沿ってしか授業をしないのでそれ以上のことがわからない状態です。そこで成層火山・塊状火山・カルデラ・二重火山それぞれの生い立ち(生成)と岩石の構成を教えてほしいです。 (12/04/03)

ジェニー:高校生/大学生:20

A せっかく火山のことに興味を持ったなら、横着せずに、自分でインターネットの検索機能を使って自分で調べて見ましょう。塊状火山や二重火山は火山学的用 語ではありません。あいまいな言葉です。
 (12/05/03)

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Question #5349
Q 初めまして。中学校の理科の教師をしております。
身近なものを利用して「マグマのねばりけの違いで火山の形が違う」ことを実験で確認したいと思っているのですが、何かよい方法はないでしょうか。
あるWebサイトのニュースで「ココア」や「くず湯」を使って行う実験について少し載っていたのですが、画像がないため、今ひとつイメージできませんでした。
ご存じでしたら、具体的な方法(図などもあれば)を教えていただけないでしょうか。
このようなことを質問事項としていいのかわかりませんが、よろしくお願いいたします。 (11/30/03)

理科の先生:社会人:31

A どうもご苦労様です。中学校の現場はとても忙しくてたいへんだと思います。

さて、東京書籍の中学校の教科書には石こうで「マグマのねばりけの違いで火山の形が違う」ことを知るための実験がのっています。これと同じ実験をもっと 身近なものを使って行うとしたら、いろいろなものが 考えられます。

例えば、チョコレート。バレンタインのシーズンになりますと、手作り生チョコレートをプレゼントする女の子がいます。生クリームの 量をふやすと粘りけの弱いマグマの実験が出来ますし、ふやすと粘りけが強くなります。また、冷蔵庫に少し入れておくだ けで粘りけが強くなります。生チョコレートの作り方については「生チョコレート」あるいは「ガナッシュ クリーム」で検索してみてください。

これを実際に流して見せますと、粘りけの弱い溶岩はさらさらと流れて遠くまで広がり、粘りけの強い溶岩は火口の上に盛り上がるということがわかります。 アクリル板に穴をあけて下から注射器で注入するとうまくいきます。

また、使う材料はチョコレートの他にもいろいろとあります。粘りけの強いマグマの例として使えるものは、はちみつ、マヨネーズ小麦粉を加える前のクッ キーの種などがあります。粘りけの弱いマグマの例としては、水でも良いですし、ココアでも使えます。マヨネーズに牛乳とトマトケチャップ少々を加えてゆ るめても良いでしょう(これはなかなかおいしいです)

ところで、「ココア」の実験はきっと私の考案したココアの地盤とチョコレートマグマによるマグマの貫入実験のことではないでしょうか?最近の朝日新聞に 図解入りで掲載されていますので、そちらもご参考いただけたらと思います。こちらは地下にマグマが貫入することによってできる地表の割れ目や断層を学習 するための教材です(朝日新聞2003年12月20日夕刊)。この実験はとても楽しいですよ。
 (12/22/03)

林 信太郎(秋田大学・教育文化学部・地学研究室)


Question #5347
Q 富士、箱根山の形成史に興味があるのですが、これは現在のプレート理論で合理的に説明できているのでしょうか?つまり、両山の形成は伊豆半島の衝突と無関係ではないと思うのですが、伊豆半島の衝突を時間的に追跡しながら、箱根、富士の形成史を、その爆発の規模に至るまで、順を追ってプレート理論で逐一説明している本を見たことがありません。私が知らないだけかもしれませんが、大変興味があるので教えて頂けないでしょうか? (11/30/03)

埼玉県民:社会人:45

A
 プレート理論そのものはスケールの大きな現象に適用されるもので,富士山や箱根 火山の形成史といった局所的現象に直接結びつくものではありません.しかしなが ら,個別的な火山の形成史が,その場所の局所的なテクトニクス場を反映している可 能性は高いものと思われます.その意味で,等しく伊豆半島の衝突テクトニクス場に おかれてはいるものの,富士山と箱根では局所的テクトニクス場には大きな違いがみ られ,両者の形成史がそれを色濃く反映していることは十分に考えられます.以下に 富士山と箱根のテクトニクス場と形成史・活動様式の違いについての個人的見解を述 べてみることにします.これは確立された見方ではなく,ひとつの仮説だと思って聞 いてください.
 富士山の直下では,西側の駿河トラフから西方に沈み込んでいるフィリピン海プレ ート(東海スラブとよばれています)と東側の相模トラフから東方に沈み込んでいる フィリピン海プレート(関東スラブとよばれています)が東西に引き裂かれる形で開 いているものと考えられます(ただし,裂けていないとする考えもありますが).富 士山直下に沈み込んでいるフィリピン海プレートの上面の深さは,地震の震源の分布 からおよそ15km程度と考えられています.そうすると,富士山の直下では深さ15km以 深の下部地殻に相当する部分がフィリピン海プレートであり,しかも東西に拡大して いることになります.例えてみれば,プレートの生産される中央海嶺の小規模なもの みたいなものです.そのために,マントルで生成された玄武岩マグマが容易に下部地 殻まで上昇し,そこで大量に蓄えられた後噴火することが考えられます.富士山は巨 大な火山であり,ほとんど玄武岩マグマばかりを,しかもきわめて大量に噴出してい る日本列島では特異な火山といえますが,その性質はこうした局所的テクトニクス場 を仮定すれば容易に説明できると思われます.
 箱根火山も特異な火山です.現在ではその中央部を丹那ー平山断層という左横ずれ 活断層が縦断しています.小山真人氏は,現在の伊豆半島東北部には,伊豆東部火山 群(東伊豆単成火山群)を拡大境界として,西側を丹那ー平山断層(トランスフォー ム断層),東側を西相模湾断裂(トランスフォーム断層)で境され,足柄平野の東部 の国府津ー松田断層を沈み込み境界とする,「真鶴マイクロプレート」なるものが存 在することを主張しています.現在の箱根火山(中央火口丘)は,ちょうどこの丹那 ー平山断層のプルアパート部に位置するものと考えられます.プルアパート部という のは2本の横ずれ断層のつなぎ目にできる拡大空間です.この地下の拡大空間を満た す形で火山直下のマグマ溜りが形成されているものと思われます.こうしたテクトニ クス場に箱根火山がおかれていたのは約15万年前以降で,新期外輪山形成期以降と推 定されます.それ以前は,25万年前以降箱根火山は独立単成火山群が発達しており, 現在の東伊豆単成火山群と類似した活動を行っていたものと思われます.この時は, 箱根火山自体が真鶴マイクロプレートの拡大境界であった可能性が高いと考えられま す.25万年前以前には,真鶴マイクロプレートはまだ存在せず,複数の成層火山から なる箱根火山群が存在していました.このように,箱根火山の形成史は,この地域の おかれている特殊なテクトニクス場の変化を反映して,きわめて複雑なものとなって いると思われます.
 関心があれば,以下の論文を参考にしてください.
・小山真人(1995): 西相模湾断裂の再検討と相模湾北西部の地震テクトニクス.地学 雑誌,104, 45-68.
・高橋正樹・長井雅史・内藤昌平・中村直子(1999): 箱根火山の形成史と広域テクトニ クス場.月刊地球, 21, 437-445.
・高橋正樹(2000): 富士火山のマグマ供給システムとテクトニクス場ーミニ拡大海嶺モ デルー.月刊地球,22, 516-523.
 (12/02/03)

高橋正樹(日本大学・文理学部・地球システム科学科)


Question #5343
Q 火山からまぐまが出るのはどう言うふうな時期や季節、気候の時に出て来るのか。その天気や気候、季節、時期によって火山の出方、噴火の仕方は、変わって来るのですか・・・

(11/29/03)

木村:小学生:11

A
 噴火が始まることには季節や気候の影響はほとんどありません。ただし、潮汐と噴火が関係していると考えられるケースもまれにありますが、それは噴火活 動が活発化している場合にだけ限られるようです。
 災害のような噴火による影響には季節や気候が大きく関係します。空を漂う火山灰は風下に流され、風下地域に被害を与えます。山頂部に積雪がある場合に は、マグマの熱で雪がとけて泥流(あるいは土石流)が発生することがあります。噴火直後に雨が降ると泥流がよく発生します。できたての熱い溶岩に大雨が 降り注いで、小爆発や溶岩の崩壊を起こした可能性も指摘されています。
 (11/30/03) (お願い。同じ質問を10回も続けて送信しないで下さい)

中田節也(東京大学・地震研究所・火山センター)


Question #5333
Q 島根県に在住している者です。
島根県の西部と東部の境目辺りに、大江高山という
大昔の鐘状火山群があるのですが、その山体を見て
ちょっとした疑問がわきましたのでお聞きします。

大江高山を構成している山のひとつに、二段重ね
になっている山をよく見かけるんですが、これは
最初にできた山の上に新しい山ができた、と考えて
もいいものなんでしょうか?
そう考えると、雲仙普賢岳の溶岩ドームのように
崩壊して、きれいに二段重ねの山にならないと
思うんですが。 (11/28/03)

おき3号:社会人:29

A 大江高山では,溶岩ドームの周辺には火砕物(一部は崖錐や山体崩壊物,土石流堆積物)がこ んもりとした山をつくっており,それらを押しのけて粘性の高いデイサイト溶岩(雲仙普賢岳と似ている)がせり上がった(貫入した)ので,「二段重ね」 状態になったものです.
 (12/01/03)

山内靖喜・沢田順弘(島根大学・総合理工学部・地球資源環境学科)


Question #5331
Q 火山の噴火で、自然以外に、人には、どんな影響がでるんですか?
それが原因で、亡くなった人とかもいるんですかね? (11/28/03)

黒崎:小学生:12

A まず左の「小中学生から多い質問」を読んで下さいね。 火山噴火がもたらした災害によってこれまで大変多くの人が亡くなりました。火山は私たちにさまざまな恵みをもたらしてくれる一方で、その噴火が大きな災 害を引き起こすことがあるので要注意なのです。 特に噴火現象のうち、火砕流や泥流(時には津波)は最も危険なものです。また、大きな噴火では成層圏まで火山灰とともに大量の硫酸ミスト(霧)が放出さ れ、それらが太陽光をさえぎって深刻な異常気象をもたらします。
 (11/30/03)

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Question #5328
Q マグマが地表に出たものを溶岩というと書籍には書いてあります。
マグマがラテン語・ギリシャ語であるという記述もいくつか見ました。
溶岩は明らかに日本語なのですが、マグマは日本語では何と言うのでしょうか。
今までそんなことを考えたことはなかったのですが、子どもに質問されて
答えに困ってしまいました。 (11/28/03)

あがろ〜:社会人:36

A マグマ(magma)は「岩しょう(漿)」と訳されています。しかし、この言葉は辞書には載っていますが現在ではほとんど使用されていません。岩石が高 温でとけて液体(溶融)状態になったものがマグマの意味ですから、「岩」と「液体」からイメージされた言葉だと思います。
 (11/30/03)

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Question #5325
Q 香川県高松市にあります屋島の成り立ちが、1300万年昔の溶岩流による、その後の地形の逆転によりできたものだったとのことでした。先日新聞で、同時期に発生した、大きなクレーターが発見され、その位置での重力が高いとの報道でした。当時のこの地は、瀬戸内火山帯で活動期の火山がたくさんあったものと考えられます。どっちにしても、クレーターのその当時の形は、全く変わってしまっているのでしょうが、今は落下した隕石が表面近くに露出しているのではと考えられます。その分析とかでどんな種類のものと考えられているのですか。その当時の陸地のうえには、どんな生き物がいたと考えられられますか。その隕石の衝突で、その近辺の火山活動がどのように変化するんのでしょうか。
、 (11/27/03)

大西 慧:社会人:60

A 高松クレーターは,高松市仏生山町の法然寺付近を中心とする直径約4kmの円形,深さ1〜2kmの地下の盆地状構造です.厚い堆積物が溜まっているの で,表面の大部分は周囲の平野と同じ高さの平らな土地になっており,飛行機や山の上から眺めても盆地状の地形は判別できません.また,クレーターの範囲 内にはデイサイト質溶岩や流紋岩質凝灰岩の小山が8つほどあります.高松クレーターは,金沢大学の河野芳輝先生らが,詳しい測定によってこの地域の重力 が異常に低い(「高い」は誤りです)ことを見出し,発見したものです.

この盆地状構造の成因については,隕石衝突説と火山カルデラ説が唱えられ,それぞれの説を支持する学者が現在でも口角泡を飛ばして議論していて,まだ決 着しておらず,国際的にもまだ「隕石孔」とは認められていません.仰るように,高松付近は「瀬戸内火山帯」に属し,この火山帯には愛媛県石鎚山や愛知県 設楽盆地などの火山性陥没構造(過去のカルデラ)があります.高松クレーター内部の掘削試料が厚い火砕流堆積物であること,隕石説の証拠となる高圧変成 鉱物が未発見であることなどから,今のところ火山カルデラ説(コールドロン説)の方が優勢のようです.どちらの説にせよ,高松クレーターが形成されたの は第三紀中新世の1400-1300万年前頃と考えられますので,人類はまだ存在しなかったでしょうが,いろいろな哺乳類がいたと思います.もっと詳し く知りたい場合は,次の書籍や論文,講演要旨を参照して下さい.

・河野芳輝編(1996),高松クレーターの謎を探る.四国新聞社.高松,231頁.
・山田涼子・佐藤博明(1998),香川県高松クレーター産ガラスの岩石学的研究.岩鉱,93巻, 8号,279-290頁.
・三浦保範・古賀登(2003),高松−香川地域の隕石衝突構造の研究.日本岩石鉱物鉱床学会2003年学術講演会(仙台)演旨, 50頁.
・三浦保範・中村麻美・古賀登・上原知子(2003)日本におけるFe-Ni含有微粒子について.日本鉱物学会2003年学術講演会(仙台)演旨, 204頁.
・三浦保範・古賀登(2003),高松−香川地域の衝突物質.日本地質学会第110年学術大会(静岡)演旨, 179頁.

 (12/01/03)

石渡 明(金沢大学・理学部・地球学科)


Question #5305
Q 今、学校の理科の勉強で「火山活動の変化」を勉強しています。。
質問なんですが、「火山が噴火するとどんなことがおこるか」と、
「今までにおこった火山活動では、大地にどんな変化が

                      見られたのか」を教えて下さい。。
よくある質問だと思いますが、お返事をよろしくお願いします☆ (11/23/03)

胡桃♪:小学生:12

A
 この質問も非常に多いものです。これまでの質問に代表してお答えします。が、噴火がどこでおこるのか、どんな噴火なのか、さらに、何に対して考えるか などでいろんなケースがあり、大変回答しにくい質問です。これからはもう少し具体的に質問して下さいね。
 例えば、(1)火山灰が火口から放出された場合は山腹や風下にそれが厚くたい積します。田畑は灰でおおわれ収穫ができませんし、灰の厚く積もった道路 を車がはしれません。300年前の富士山の噴火では今の東京でも火山灰が積もりました。火山灰が空にただよう場合は、航空機がそれにつっこむと、エンジ ンが火山灰を吸い込むと停止し墜落の危険があります。(2)火口から溶岩が流れる出る場合には、溶岩が住宅地までせまってくることもあります。ハワイの キラウエアでは溶岩が約20年間も流れ続けており住宅地が埋め尽くされました。(3)火山灰と高温の火山ガスが火口から高速で流れ下る火砕流(かさい りゅう)が発生することもあります。100年前のカリブ海の島でおきた噴火では火砕流で約3万人がなくなりました。(4)雨が降ると火山灰が堆積した場 所では泥流が発生しやすく、山麓にある河川や低地は危険です。約20年前にコロンビアでおきた噴火では火口から約40kmも泥流が流れ下り麓の街を埋め 尽くし、逃げ遅れた約2万5千人がなくなりました。(5)山がくずれることもまれにあります。約210年前の雲仙普賢岳の噴火では大きな地震によって古 い溶岩ドームがくずれて有明海になだれ込み、津波が発生し有明海の周囲で約1万5千人がなくなりました。火山活動が活発化すると、火口に近い場所だけで なく、山麓でも火砕流、溶岩、泥流が流れてきそうな谷、川、低地などは危険になることがあります。
 大地の変化では最近の噴火例をあげればわかりやすいと思います。10年ほど前の雲仙普賢岳の噴火では溶岩ドームが山の頂上付近にできて山の最高点がさ らに120mほど高くなりました。有珠山の2000年噴火では溶岩が地面の下にたまって新しい小山が作られました。約60年前の噴火ではそれが地表に顔 を出しました。三宅島の2000年の噴火ではマグマが地下で隣の火山に移動したため、三宅島の下に空洞ができ、山頂が陥没してカルデラ(大きな穴)が作 られました。
 (11/23/03)

中田節也(東京大学・地震研究所・火山センター)


Question #5302
Q 火山が噴火する山はだいたい、決まっているんですかぁ?TOPのページにでてなかったからお聞きいたしました・小学6年なんですけどぉ、よかったら、教えて下さい。(今学校で勉強してるんです)今、調べ学習しているんです。これは、家のPCから送りました♪自分でホームページを見つけ、うれしいです。返事お待ちしています。なるべく速めにお願いします。 (11/21/03)

チカコ♪:小学生:11

A 地球上では、小さな噴火が起こる頻度は大きく、大きな噴火が起こる頻度は少ないのが普通です。火山ごとでもしばしば噴火をするものとたまに大きめの噴火 をするものがあります。これは、火山ごとに放出したいエネルギーが決まっており、小さな噴火でエネルギーを小出しに使うか、大きな噴火で使ってしまうか というような関係だと思えばよいでしょう。噴火する火山が決まっているわけではありません。例えば、諏訪之瀬島や桜島は1年間に何回も噴火をしていま す。三宅島、有珠山などは数十年おきに噴火を繰り返しています。富士山はここ約3百年間噴火がありません。ですから、今度富士山が噴火するとしたら大き めの噴火になる可能性がありうるわけです。
 (11/22/03)

中田節也(東京大学・地震研究所・火山センタ)


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